夜の現場

2016.12.23 Friday

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    JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

    お客様が仕事帰りに現場に立ち寄ったら、

    ようやく電気が通じ照明が付いたらしく、

    あんまり現場がきれいだったので、ということで

    わざわざ写真を送ってきてくれた。

    こちらも写真を見て、送りたくなる気持ちが分かった。

     

    製作キッチンと背面収納とルイスポールセンのペンダント。

    製作キッチンは仕上げが無垢のチェリー材なので、

    写真でもその仕上りの美しさが伝わってくる。

    養生を撤去すればチークの無垢のフローリングなので、

    また雰囲気が変わるだろう。

     

    シューズクロークから玄関を見た所。

    手前のような収納はシート仕上げのランバー材で仕上げることがほとんどだが、

    今回は集成材と積層合板を塗装仕上げで製作した。

    やっぱり材料が本物だと雰囲気も違う。

    建具は特注の高さ2.6m。通常であれば建具は背が高いほど反ってしまう。

    しかし、垂れ壁を作りたくなかったので、建具を十分に補強して製作した。

    奥に見える壁仕上げはレッドシダー。

    照明も玄関の中心ではなく、そのレッドシダーを照らすように壁側に配置した。

    イメージに近い感じで照らされていて良かった。

     

    1階のトイレのモザイクタイルと間接照明。

    来客時に使うことが多いとのことだったので、

    壁一面をモザイクタイルで仕上げ、照明も全体を照らす照明は付けずに間接照明のみで

    商業施設のトイレのようなイメージで計画した。

    イメージ通りいったようだ。

     

    裏手の勝手口。

    当初、小庇は予算を抑えるため、アルミの既製品で考えていたが、

    お客様が「見えない所も手を抜きたくない」とのことで、

    他の所と同様にレッドシダーで製作した。

    お客様のこだわりを突き通して正解だった。

     

    完成まであとわずかだが、

    私の事務所の1軒目の家でこれだけ建物に情熱を持った方が施主だからこそ

    これだけの満足いく仕上りになったと思う。

    こんなにうれしい気持ちにさせてもらった施主に感謝したいと思う。

    建築主・設計者・施工者

    2016.12.23 Friday

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      JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

      一つの建物を建てるにあたり、

      主たる当事者は「建築主・設計者・施工者」である。

      この3者が協力し、それぞれの知恵を出し合い、

      一つの建物を建てていく。

       

      しかし、一つの建物を建てるということは

      楽しいことでもあり、苦しみの連続でもある。

      経験上、この3者の内、1者でもわがままを言いだしたり、

      手を抜いたりすると途端に残り2者の負担は大きくなり、

      目指す建物の完成へたどり着けるかがおぼつかなくなる。

      たどり着いたとしても遺恨を残すことになる。

       

      日本や日本人は良く、「ものづくり大国」や「実直な国民性」等と

      まじめなイメージの評価をされることが多いが、

      社会に出て約10年だが、そうじゃない人の方が圧倒的に多いような気がする。

       

      以前に勤めていた設計事務所の先輩が言っていた内容で

      「あっと驚くような提案をすることが”設計”ではなく、

      ”設計”とは全てを確認していくことだ」と言っていた。

      私の解釈としては、お客さんが言った内容をちゃんと理解したり、

      図面内容の祖語がないか確認したり、そういう基本的なことを

      ちゃんとやった上で提案していくことが設計ということなんだと思う。

       

      今年の春から自分の設計事務所を始めて、設計以前に

      そういう人として当たり前のことをきっちりしていくことが

      何より重要だと心から思う。

      今月の住宅特集

      2016.12.21 Wednesday

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        JUGEMテーマ:人生論

        JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

         

        「住宅特集」とは新建築社が発刊している住宅に特化した建築雑誌である。

        新建築社はその他に「新建築」や「a+u」等の公共建築物や海外の建築の情報を

        伝える雑誌を出しており、大学の頃はそれらの雑誌をむさぼるように読んでいた。

        働き始めてからは不定期に購入したり、本屋で立ち読みしたりしていた。

         

        昨日もたまたま本屋に行った時に今月の住宅特集が出ていたので、

        ぱらぱらめくっていると「私の失敗」というコラムに安藤忠雄氏が寄稿されていた。

        大学の頃は、安藤忠雄、伊東豊雄、ジャン・ヌーベル、レム・コールハース等が

        世界の建築の中心におり、彼らの設計した建物の写真集や建築雑誌を読み、

        大学の友達と彼らの建築物について語ったり、批評したりして、あこがれの存在だった。

        特に安藤忠雄氏は関西に実作が多く、コンセプトも明快で

        私にとってのいわゆる「建築家」とは「安藤忠雄」であった。

        「私の失敗」というコラムは以前からコーナーとしてあるが、

        ほとんどが設計の若手や住宅建築家と呼ばれる人だったが、

        急にあの安藤さんが載っていたので、少し驚いた。

        しかも内容があの「住吉の長屋」についての内容だったので、その記事を思わず3回繰り返し読んでしまった。

         

        「住吉の長屋」は建築学会賞も受賞した安藤忠雄氏の初期の名作である。

        しかも、彼は設計事務所を始めて約50年近くが経とうとしているが、

        星の数ほど建物を建ててきても未だに必ず代表作として取り上げられる名作である。

        内容は詳しく言及しないが、概略を述べると、建築のことを良く分かっていない

        何者でもない一設計者が建築主や施工者の助力の下、情熱で完成させた建物である、ということだった。

        勝手なイメージで安藤さんほどの人であれば自信満々に住吉の長屋の設計図書を仕上げ、

        建築主も施工者もそれをあがめるようにして完成したものだと思い込んでいたが、

        その文章を読む限り、自信のない一青年の姿が透けて見え、今の自分とも重ね合わせて

        何か応援したくなるような気分になった。

         

        以前に京セラの創業者、稲盛和夫氏の本を読んでいた時に

        仕事の結果は「考え方×能力×熱意」の総体であるといった感じの文章があった。

        安藤さんの文章を読みながら、設計も考え方や能力は経験や知識で向上できるけども、

        熱意だけは死ぬまで持ち続けないと良い結果を望めないと改めて思った。

        製作キッチン設置、転落防止建具打合せ

        2016.12.20 Tuesday

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          今日はお客様がご自身で仕様を決めていた製作キッチンを据え付ける日だ。

          また、建具屋さんとの階段の下り口と上り口に設置する

          転落防止用の建具の打合せのため、現場に向かった。

           

          キッチンと背面収納の据え付け風景。

          ある程度出来上がったものをぽんっと置くイメージだったが、

          現場でたくさんの部材を組み立てるということで

          朝の10時から夕方までかかるとのこと。

          面材、天板は無垢のチェリー材で仕上がっている。

          写真の引出しの面材を側面から見ると木の年輪が見えた。

          ほとんどのキッチンの面材がシート材等でくるっと巻いているものがほとんどなので、

          キッチンで木の年輪を見ることにある種の驚きがあった。

           

          食洗器の「ガゲナウ(GAGGENAU)」

          この仕事をしていてなんだが、ミーレの食洗器は1,2回見たことがあるが、

          ガゲナウの食洗器を現場で見ることは初めてだった。

          お客様が非常に熱心で、ご自分でキッチンの食洗器のメーカーの候補を絞り、

          それぞれのメーカーのショールームに足を運び、

          使い勝手も自分で確認し、疑問点を自分で洗い出し解決した上で

          このメーカーに決めた。

          そんな情熱を持った方の建物を設計できるのは設計冥利に尽きる。

          このお客様からはいろんなことを学ばさせて頂いた。

           

          鉄骨階段の木部である段板と笠木の取付完了。

          今までは鉄がむき出しだったが、

          完成形になって雰囲気が柔らかくなったような気がした。

          また、この階段の下り口と上り口にお子さんがまだ小さいので、

          転落防止用建具を設置することになっており、

          その打合せをしたが、途中お客様も来られ、

          結局、上の下り口のみ転落防止用建具を設置することになった。

          打合せでいろいろと検討することも重要だが、

          現場での打合せも非常に重要だと思った。

           

          現場からの帰り道、古い家の解体工事を行っていた。

          ふと、実家のことを思い出し、あの古い家は地震で全壊にはなっているが、

          安易に解体せず、なんとかこの手で復活させたいと改めて思った。

           

            

          建築設計とデザイン

          2016.12.16 Friday

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            JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

            たまたま先日落選したプロポーザルの結果がネット上で公表されていた。

            何人かの提案書があり、それらを見ながらいろんな思いが湧いてきた。

            どのプレゼンもいろいろと案を練って、

            プレゼン自体もCGや模型を使ってふわっと軽い表現できれいに仕上げてあった。

            ただ、このプロポーザルは提案に地域性を強く求めていたが、

            どの案も違う場所でも成り立つような案だった。

            それらの案を見ながら、自身が大学で建築を学んでいた時のことを思い出した。

             

            大学で建築を学んでいる時に一番理解しにくかったことがある。

            それは建築設計の実習である。

            建築設計の実習は最初に敷地や用途等の与条件を与えられ、

            模型や図面を作成して自分なりの提案を行うというものである。

            その他の構造力学や建築計画等の授業内容はテキストそのままだが、

            建築設計の実習は自分なりにこれが正解というものにたどり着けず苦労していた。

            もちろん表彰されたこともない。

            ただ、建築設計の優秀者として表彰される人の案を見てきたが、

            確かにプレゼンはきれいにできているが、その与条件と案を見比べた時に

            何か釈然としないものがあった。

            また、ちょっとでも建築のことを知るためにいろいろな本を読んだが、

            法律の本に比べ、中身が抽象的過ぎて、読み終わった後、

            結局何が言いたいのかが良く分からない本が多かった。

            大学の時は自分の理解力や建築設計に対する能力が低いのだろうと考えていた。

             

            大学を卒業して建築設計の実務を約10年してきたが、

            建築設計は大学と社会ではかなり求められているものが異なることは身に染みて分かった。

            社会ではまずお金ありきで、いかにその予算でより良いものに仕上げられるかが重要である。

            そして、出来た建物も重要だが、その建物を発注しているお客様にいかに良い気分で

            その過程を経験してもらえるかも重要である。

            ひょっとすると、後者の方がより重要かもしれない。

             

            しかし、街を歩いているとどこかしらで工事をして新たな建物が造られているが、

            正直、もうちょっと建築・デザインの可能性を感じられる設計はできなかったのか、

            その設計者は予算ありきでその建物を建ててしまって良いのか、

            と言いたくなる建物がとても多い。

             

            現実的な建築設計で出来上がる建物は見ていてつらい気持ちになる。

            デザイン重視でその発注者や使用者に見向きもされなくなってしまう建物もつらい気持ちになる。

             

            私の今の結論としては、設計という職種は現実的な建築設計を行う能力と

            デザインの力を発揮できるような提案力の両方が必要なのだと思う。

            どちらかにすり寄ることは本人にとっても、社会にとっても不幸な結果になるのだと思う。