施主検査

2017.01.05 Thursday

0

     

    昨日、事務所1軒目の施主検査を行った。

    「施主検査」とは建物が完成し、打合せ通りの仕様になっているかの確認を行ったり、

    傷や汚れがないか等を設計者と建築主が一緒に確認していくことである。

    通常は工務店検査を行い、1週間程度の補修期間を設け、

    その後、設計事務所検査を行い、1週間程度の補修期間を設け、

    そして、施主検査を行い、1週間程度の補修期間の後に引き渡しとなる。

    ただ、建物は完成してもその後に外構工事が始まるので、

    周辺に駐車スペース等がないと外構工事の完了後に引っ越しとなる。

     

    今回は建物完成が年末年始を挟むので、かなり引き渡しが伸びそうなことと、

    周辺に駐車スペースがあるので、住みながら外構工事を行うことが可能なので、

    通常の流れとは異なり、施主検査後、すぐに引っ越しの予定である。

     

    早めに現地に着き、全ての窓を開け、施主検査の準備をした。

    施主検査が終われば、打合せから工事までの一区切りが付くことになる。

    そんな気分を反映するかのように空は快晴だった。

     

    約1時間の施主検査を行った。写真はその内容の書き込み。

    今までいろんな方の施主検査を行ったが、

    どこの姑ですか、というぐらい、光の反射でしか見えない

    1mm程度の傷をあげつらう人もいれば、

    あまり細かいことを言うとせっかく一生懸命作ってくれた人に

    申し訳ないと言って何も言って来ない方もいる。

    私の意見としては、気になる内容があれば遠慮なく言ってほしいと考えている。

    ただし、工事中を見てもらっていれば分かるが、

    工場のクリーンルームで電子機器を作るのとは異なり、

    何もない空き地にいろんな職人さんが入れ替わり立ち替わりで来られ、

    徐々に作り上げていく。

    雨の日もあれば、雪の日もある。

    そんな場所でこの建物を作り上げてきたことを想像して頂ければ

    自ずとどの程度の精度で、どの程度のことを言うべきか決まってくる。

    ただ、その建物を建てるにあたっての建築主の経済的、精神的負担を考えると、

    私が上記のようなことを言うのもおこがましいので、

    建築主の良心を信じながら、施主検査を行うことがほとんどだ。

     

    建築主が帰宅後、事務所1軒目ということで、

    現地に残り、私自身で1軒目の反省会を行った。

    良かった点、改善すべき点、施主検査で指摘を受けた内容の確認等、

    家の中を図面を片手に歩きまわって

    約5時間かけてそれを行った。上記写真はその内容。

    施主検査の内容の倍以上になってしまった。

     

    個人で設計事務所を始めるということは

    別の観点で考えると何の後ろ盾もなく個人事業主になるということ。

    私自身、去年の春から始めてまだ1年も経ってないが、

    毎日が不安である。

    ブログの最初の投稿からいまだ変わらず、希望と不安が渦巻いている。

    個人ということは私が倒れればそれで終わりだし、

    営業の者がいるわけでもないので、自分で仕事を確保しなければならないということである。

    もちろん、厚生年金はもらえないし、ボーナスもない。

    学生の頃から頭の中で自分の設計事務所を運営することを

    シミュレーションしてきたがほぼその通りになっている。

    ただ1点そのシミュレーションから想定外だったのは、

    基本を忠実に行うこと、つまり、目の前の人の話をまじめに聞く、

    困っている人がいれば助ける、自分勝手な考えで行動しない、等

    小学校低学年でも理解できるようなことを仕事でも同様に手を抜かず行っていると、

    良い結果が得られるということである。

    この1軒目も以前の私の仕事ぶりを知っている方の紹介で頂いた。

    他にもいくつか紹介を頂いている。

    毎回、5時間かけて反省会をしないかもしれないが、

    設計をして引き渡して終わりを繰り返していると私に未来はないことは分かるので、

    これからも自分にも他人にも真摯な姿勢で設計というものに向き合いたいと思う。

     

    施主検査が終わっても、引き渡しまでにその内容をしっかり補修してもらい、

    引っ越し後もしばらくは何かしらの問題は発生すると思うので、

    建築主が新たな生活に馴染むまでは気を引き締めて対応していくつもりだ。

     

     

     

    完了検査

    2016.12.28 Wednesday

    0

      昨日、事務所1軒目の完了検査を行った。

      一般の住宅の場合、最初に建築基準法に合致した計画をし、

      確認申請書を役所、または民間検査機関に提出する。

      そして、その建物の計画が建築基準法を満たしているかを書面上でまず審査を受ける。

      その後、木造であれば上棟後に中間検査で躯体関係が確認申請通りか検査を受け、

      最後に完了検査で仕上げや設備関係が確認申請通りか検査を受ける。

      特に指摘事項もなく無事完了検査が終わった。

      併せて、以前から1軒目の家を見たいと言っていた友人達を招いて

      内輪のオープンハウスを開催した。

      同業者が多かったので、褒めてもらえた内容もあり、

      厳しい指摘を受けた内容もあり、今後に生かせるいろいろな意見をもらえた。

       

       

       

       

      ほぼ完成しているが、一部補修内容や是正内容があるので、

      年明けの引き渡しに向けて最後まで詰めていく。

       

       

      夜の現場

      2016.12.23 Friday

      0

        JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

        お客様が仕事帰りに現場に立ち寄ったら、

        ようやく電気が通じ照明が付いたらしく、

        あんまり現場がきれいだったので、ということで

        わざわざ写真を送ってきてくれた。

        こちらも写真を見て、送りたくなる気持ちが分かった。

         

        製作キッチンと背面収納とルイスポールセンのペンダント。

        製作キッチンは仕上げが無垢のチェリー材なので、

        写真でもその仕上りの美しさが伝わってくる。

        養生を撤去すればチークの無垢のフローリングなので、

        また雰囲気が変わるだろう。

         

        シューズクロークから玄関を見た所。

        手前のような収納はシート仕上げのランバー材で仕上げることがほとんどだが、

        今回は集成材と積層合板を塗装仕上げで製作した。

        やっぱり材料が本物だと雰囲気も違う。

        建具は特注の高さ2.6m。通常であれば建具は背が高いほど反ってしまう。

        しかし、垂れ壁を作りたくなかったので、建具を十分に補強して製作した。

        奥に見える壁仕上げはレッドシダー。

        照明も玄関の中心ではなく、そのレッドシダーを照らすように壁側に配置した。

        イメージに近い感じで照らされていて良かった。

         

        1階のトイレのモザイクタイルと間接照明。

        来客時に使うことが多いとのことだったので、

        壁一面をモザイクタイルで仕上げ、照明も全体を照らす照明は付けずに間接照明のみで

        商業施設のトイレのようなイメージで計画した。

        イメージ通りいったようだ。

         

        裏手の勝手口。

        当初、小庇は予算を抑えるため、アルミの既製品で考えていたが、

        お客様が「見えない所も手を抜きたくない」とのことで、

        他の所と同様にレッドシダーで製作した。

        お客様のこだわりを突き通して正解だった。

         

        完成まであとわずかだが、

        私の事務所の1軒目の家でこれだけ建物に情熱を持った方が施主だからこそ

        これだけの満足いく仕上りになったと思う。

        こんなにうれしい気持ちにさせてもらった施主に感謝したいと思う。

        建築主・設計者・施工者

        2016.12.23 Friday

        0

          JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

          一つの建物を建てるにあたり、

          主たる当事者は「建築主・設計者・施工者」である。

          この3者が協力し、それぞれの知恵を出し合い、

          一つの建物を建てていく。

           

          しかし、一つの建物を建てるということは

          楽しいことでもあり、苦しみの連続でもある。

          経験上、この3者の内、1者でもわがままを言いだしたり、

          手を抜いたりすると途端に残り2者の負担は大きくなり、

          目指す建物の完成へたどり着けるかがおぼつかなくなる。

          たどり着いたとしても遺恨を残すことになる。

           

          日本や日本人は良く、「ものづくり大国」や「実直な国民性」等と

          まじめなイメージの評価をされることが多いが、

          社会に出て約10年だが、そうじゃない人の方が圧倒的に多いような気がする。

           

          以前に勤めていた設計事務所の先輩が言っていた内容で

          「あっと驚くような提案をすることが”設計”ではなく、

          ”設計”とは全てを確認していくことだ」と言っていた。

          私の解釈としては、お客さんが言った内容をちゃんと理解したり、

          図面内容の祖語がないか確認したり、そういう基本的なことを

          ちゃんとやった上で提案していくことが設計ということなんだと思う。

           

          今年の春から自分の設計事務所を始めて、設計以前に

          そういう人として当たり前のことをきっちりしていくことが

          何より重要だと心から思う。

          今月の住宅特集

          2016.12.21 Wednesday

          0

            JUGEMテーマ:人生論

            JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

             

            「住宅特集」とは新建築社が発刊している住宅に特化した建築雑誌である。

            新建築社はその他に「新建築」や「a+u」等の公共建築物や海外の建築の情報を

            伝える雑誌を出しており、大学の頃はそれらの雑誌をむさぼるように読んでいた。

            働き始めてからは不定期に購入したり、本屋で立ち読みしたりしていた。

             

            昨日もたまたま本屋に行った時に今月の住宅特集が出ていたので、

            ぱらぱらめくっていると「私の失敗」というコラムに安藤忠雄氏が寄稿されていた。

            大学の頃は、安藤忠雄、伊東豊雄、ジャン・ヌーベル、レム・コールハース等が

            世界の建築の中心におり、彼らの設計した建物の写真集や建築雑誌を読み、

            大学の友達と彼らの建築物について語ったり、批評したりして、あこがれの存在だった。

            特に安藤忠雄氏は関西に実作が多く、コンセプトも明快で

            私にとってのいわゆる「建築家」とは「安藤忠雄」であった。

            「私の失敗」というコラムは以前からコーナーとしてあるが、

            ほとんどが設計の若手や住宅建築家と呼ばれる人だったが、

            急にあの安藤さんが載っていたので、少し驚いた。

            しかも内容があの「住吉の長屋」についての内容だったので、その記事を思わず3回繰り返し読んでしまった。

             

            「住吉の長屋」は建築学会賞も受賞した安藤忠雄氏の初期の名作である。

            しかも、彼は設計事務所を始めて約50年近くが経とうとしているが、

            星の数ほど建物を建ててきても未だに必ず代表作として取り上げられる名作である。

            内容は詳しく言及しないが、概略を述べると、建築のことを良く分かっていない

            何者でもない一設計者が建築主や施工者の助力の下、情熱で完成させた建物である、ということだった。

            勝手なイメージで安藤さんほどの人であれば自信満々に住吉の長屋の設計図書を仕上げ、

            建築主も施工者もそれをあがめるようにして完成したものだと思い込んでいたが、

            その文章を読む限り、自信のない一青年の姿が透けて見え、今の自分とも重ね合わせて

            何か応援したくなるような気分になった。

             

            以前に京セラの創業者、稲盛和夫氏の本を読んでいた時に

            仕事の結果は「考え方×能力×熱意」の総体であるといった感じの文章があった。

            安藤さんの文章を読みながら、設計も考え方や能力は経験や知識で向上できるけども、

            熱意だけは死ぬまで持ち続けないと良い結果を望めないと改めて思った。