競合案件の誤算

2017.11.09 Thursday

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    JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

    先月に二件、今月に一件、戸建住宅以外の

    大きな建物のプレゼンの機会があり、

    自分の事務所を始めてから戸建住宅以外は初めてなので、

    忙しい中、どうにかこうにかプレゼンを行っている。

    そして、今日は先月にプレゼンした方から連絡があった。

     

    結果は他の設計事務所に決まってしまった。

    理由を尋ねると「田中さんのご提案はとても良かったのですが、

    ある設計事務所がとても安い金額で建ててもらえる保証をしてくれたから、

    そこに依頼することにしました。」とのこと。

     

    この案件はその会社の窓口の方とメールでやり取りを続け、

    その方に会う機会をもらって直接ご要望、予算をお聞きし、

    その方の建物に対する熱い思いもお聞きしたので、

    その熱をこちらも引き継ぎ、

    現地に足を運び、プランを何度も練り直した上で、

    提案プラン、概算見積を作成した。

     

    しかし、プレゼン時にはその方の上司のみの応対で、

    事前に聞いていた予算は税別での金額だったが、

    プレゼン時には税込の金額であると告げられたり、

    プレゼン後のやり取りでは提案内容の中身よりは

    工事金額が予算に納まるかの話がメインだった。

    その点でも私なりにきっちりした仕事をしてくれて、

    かつ、工事金額を抑えてくれる建設会社を知っていたので、

    その話もしていた。

    しかし、今日の電話ではあくまで先日提出していた概算見積ありきで、

    予算上、一番安く建ててくれる保証をしてくれた所に

    決めざるを得ないとのことだった。

     

    設計事務所が作成できる工事費の概算見積はあくまで概算であって

    数量を拾い出して建築コストが載っている本から単価を選んで

    それを積み上げる見積でしかない。

    言い換えれば、本当の工事金額の参考資料でしかない。

    実際は建設会社によって、単価は異なるし、経費の乗せ方も異なるので、

    設計事務所ができるのは見積ができる図面を作成し、

    何社か相見積をして、その見積書の中身を精査し、

    また、その建設会社の仕事ぶりを評価して、

    施工者と工事金額を決めることである。

     

    おそらく、その依頼先に決まった設計事務所は

    時間はなかったはずなので、何となく見積ができる程度の図面を作成し、

    特定の建設会社に対してこの金額でやってくれ、でその保証を得たのだと思う。

    ただ、経験上、そのやり方をすると、

    何となくの図面での見積なので、行き違いや見積漏れで本当の金額からずれていることが多い。

    最初に金額ありきなので、最終計画までに規模や仕様をちょっとずつ下げざるを得ない。

    さらに、現場が始まってもちょっとずつお金を削れる所を削っていくしかない。

    質の悪い建設会社なら建築主には内緒で仕様を変えてもらわないと困ると設計者に迫るだろう。

    結果的に建築主、設計者、施工者共、辛い思いをすることになる。

    このパターンの仕事の取り方は今までたくさん見てきた。

    もちろん、どんなに素晴らしい建築計画であっても、

    予算は大前提の話であるから、

    仕事を取るためにこの案件はそういうやり方が必要な案件だったのだ。

    今日、電話を頂いて初めてそういう案件だったかと気付いた私自身もまだまだだなと思った。

    ただ、そういう仕事の取り方をしている会社はその他大勢の会社として埋没していく。

    そんな会社も多く見てきた。

    もちろん、きれいごとだけでは食べていけない。

    しかし、食べるためだけの仕事になっては、ただ生き延びて何も残らない。

    そのバランスが重要だと思う。

     

    話は変わって先日ある建築主の方との雑談の中で

    建築主と設計者との関わりの質問があり、こう答えた。

    「建築主と設計者の繋がりは元々強い結びつきがあることは稀で
    たまたまということが多いですが、
    それでも何らかの縁があったんだろうなと思います。
    そんな縁は大切にしたいと常日頃、考えています。」

    その内容を今日の電話のやり取りをしながら思い出していた。

    仕事が取れなかったことは残念だったが、

    単に縁がなかったのだと思う。

    私の持論として、自身の向いている方向さえ間違っていなければ、

    会うべき人には会うだろうし、

    すべき仕事をする機会を持つことにもなると思う。

    私がすべきことはそのようなチャンスが来た時に

    どのような状況でも逃げずに正面からぶつかっていく勇気を

    持ち続けることだけだと思う。

     

     

    更地になった計画地

    2017.11.06 Monday

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      JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

      現在打合せ中の方の敷地内の

      既存建物の解体が終わったということで、

      現状を確認するために計画地へ向かった。

       

      更地になった計画地。

      先日の台風の時に短時間ではあったが、

      すでに確認は行っていた。

      ただ、今週に地盤調査を行うこともあり、

      なんとなく最終の現地確認をしておいた方が良いような気がしたので、

      計画地まで来た。

      実際、今日の時点でも新たな発見等はなかった。

       

      ここ最近は大きな建物のプレゼンが続いており、

      多少余裕を失っていた。

      ただ、そんな時でも常々、忘れないようにしていることがある。

      「建築のプロフェッショナルとして、考え、行動できているか。」

      見方を変えれば、つまらないプライドかもしれないし、

      無駄足を繰り返すことに繋がってしまうかもしれない。

      ただ、自分自身の中で芯のようなものを持っていないと

      簡単に流されてしまうような気がする。

      きっとマイナス面もあると思うが、

      私にとってはプラス面として捉え、

      この仕事を続ける間はそれを胸に刻んでいたいと思う。

       

      基礎屋さんと打合せ

      2017.11.01 Wednesday

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        JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

        今日は朝からこれから着工する基礎工事に関して

        基礎屋さんと現地で打合せを行った。

         

        現場近くで仕事をしていた基礎屋さんに現地に来て頂いた。

        建物の工事はまず基礎工事から始まる。

        ただ、配筋検査等には来るが、

        工事が始まる前の段階で基礎屋さんと打合せをするのは滅多にない。

        今回計画が基礎に絡む開口部があったり、

        建物がかなり大きいこともあり、

        念のために現場で直接お会いして

        こちらの意図や注意すべき点について打合せをしてもらった。

         

        だだっ広い敷地。

        先日の地鎮祭時の地縄が張られているだけなので、余計に広く感じる。

        敷地は一般の住宅の敷地の3区画分もある。

        建物自体もいろいろと新たな挑戦をしているので、

        この現場にはたびたび足を運ぶことになりそうだ。

        この何もない状態から建築主が完成した建物へ引っ越し終わる瞬間まで

        集中力を切らさず、喰らいついていきたい。

        最近あまりうれしくなかったこと

        2017.10.25 Wednesday

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          JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

          自分自身の性格上、考え始めると深く考え過ぎて

          暗い気分になりがちである。

          だから、そうならないようにマイナスな内容はある程度、

          自分の中で整理した後は深く考えないようにして、

          できる限り、物事を前向きに捉えられるようにしている。

          また、それは自分の設計事務所を続けていく以上、

          必要なことだと思う。

          そんな中で最近、なかなか整理できないことがあった。

           

          あるプロポーザルの完成後の風景。

          このプロポーザルは規模が小さく、予算も少なかった。

          そして、現地を訪れた日は平日の午後だったので、

          人も少なかった。

          ただ、現地を見渡し、ベンチに腰掛け、思わずため息が出た。

          あまりにも、わくわくしないからである。

          もちろん、設計・デザインは好みもあれば予算にも左右される。

          それに私自身の好みもあるから、良し悪しは一概に判断はできない。

          だが、この物寂しい雰囲気は何なんだろうと思った。

          どこかの地場産の木材ベンチの見本市のようで

          設計者の何らかの意図を感じる訳でもない。

          ベンチに座っているうちに、

          約1か月かけて、この計画案を練り、

          模型を地道に作っていた自分自身が頭をよぎり、

          なんだか腹が立ってきた。

           

          話は変わり、ある方から頂いた新築住宅に対しての要望書。

          ある新築計画があり、設計者候補に入ることができた。

          ラフプランを提出するためにより詳細な要望等を頂きたい旨を建築主に伝え、

          メールで頂いた資料が上記写真である。

          量の多さにびっくりはしたが、建築主ご自身が具体的にイメージされているのは

          好ましいことなので、それは問題なかったが目を通していくと

          設計の考え方までに具体的な指示があり、

          何より誤字と文章の重複、日本語の文章なのに意味が分からない所が多々あった。

          このメールの前日にこの方から夜中に電話連絡があり、

          電話のやり取りもこちらが相槌を打つ暇もないぐらいに一方的に話されていた。

          その電話と頂いた要望書の感じから直感的に

          この話はやばい、と思った。

          そして、まだ設計依頼を受けたわけではなかったが、

          設計事務所開設後、初めてこちらからお断りの連絡を入れた。

          後日、冷やかしは困ります、とお怒りの連絡は頂いたが、

          仮に設計を依頼されて完成までの時間と労力を考えると

          何を言われても構わないと思った。

          より良い建物の完成のために苦労することは全く厭わないが、

          それとは関係ないことで労力がかかることは拷問に近い。

          今までの経験でそれは何度となく味わっているので、

          電話とメールの数回のやり取りしかしていないが、

          おそらく想像通りの展開が待ち受けていただろう。

           

          私は友人から芯がぶれず、前向きと言われることが多い。

          ただ、人間だから常にそういう訳ではない。

          一生懸命にがんばったのに別の人のそうは思えないものが評価されたり、

          やる気はあるがこちらの負担が明らかに大きい場合に、

          断って相手から文句を言われれば気分的に滅入る。

          しかし、自分の設計事務所を始めてから圧倒的に楽しく、うれしいことが多い。

          また、芯がぶれず前向きに取り組んでいる時には周りの人達も笑顔でいるような気がする。

          そうであればマイナスな内容もさっさと整理して、

          ちょっとでも芯がぶれずに前向きにいられるような状況を自分自身で確保していくべきだ。

          それは自分自身のためでもあるが、私に関係する周りの人達にも良いことだと思う。

          とうとう着工

          2017.10.24 Tuesday

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            JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

            建設会社社長の戸建住宅の地鎮祭を行った。

            ご自身が大工であり、腕もあるが、

            若手ホープの経験のためにご自身は

            工事にはメインでは入らないという案件である。

            今日はその若手ホープの大工さんも来て、

            顔合わせも兼ねる会となった。

             

            地縄が張られている。

            白いロープが建物の外郭の壁の中心線である。

            今回の計画は平屋住宅約50坪と付属物置約20坪の規模である。

            通常は地縄の時はイメージしているよりは狭く感じ、

            建物が完成に向かうにつれて大きく感じることが多い。

            ただ、今回は地縄の時点で建物がとても大きく感じた。

            今までに経験したことのない感覚である。

            着工図も今日の地鎮祭に合わせて準備してきたが、

            結局、地鎮祭に向かう直前まで図面を書いていて、

            久々に一睡もせず、徹夜明けのままの地鎮祭への出席となってしまった。

            地鎮祭中も頭がずきずきして、目がぴくぴくと痙攣していた。

            結構時間をかけて作図してきたがなかなか完成しないことに焦りを感じていたが、

            今日の地縄張りを見て、ほぼ一般的な住宅2棟分の設計をしてきたことが分かり、

            思ったように作図ペースが上がらないことに納得がいった。

             

            とうとう来月頭から着工する。

            着工図としては仕上げたが、

            計画の重要な部分である、登り梁の納まりや

            6mの3枚引き木製サッシの納まり等、

            まだまだ詰め切れていない部分が多々ある。

            また、いろんな仕様の相談を建築主としてきたが、

            最後は建築主から「お任せします。」で終わっているので、

            ほぼ私の方で仕様も決めているような状態で責任は重大である。

            自分の事務所を始めてまだ間もないが、

            この家は私の今後の設計の方向性に大きな影響を与えるような気がしている。

            そして、作図をしながら自分自身の設計力の未熟さを痛感していた。

            ただ、信頼してくれる建築主が目の前にいて、

            私の思った通りに実現できる自由度の高い計画が目の前にある。

            そうであれば、言い訳はせず、建物が完成する瞬間まで

            自分なりに精一杯がんばって最後の最後まで食らいつく覚悟で行くしかない。

            その覚悟はある。前へ一歩踏み出したいと思う。