プロポーザルの応募資格

2019.11.07 Thursday

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    以前から応募が可能で興味があるプロポーザルは参加するようにしている。

    事務所開設後、年に1,2件程度は応募資格が「一級建築士事務所であること」等のように

    ハードルが低いものがあるので、それらは参加している。

    過去に一度だけ優秀作品賞は頂いたが、それは最優秀作品賞ではない。2位である。

    プロポーザルは仮に500社が応募して2位を取ろうが、500位だろうがどちらも結局同じで

    1位を取らない限り、実際に提案した建物が建つことはない。

     

    また、ほとんどのプロポーザルは主に自治体が市庁舎や図書館等の公共建築物で

    かつ、規模が大きいものが多いので、

    そもそもの応募資格が「過去に5000岼幣紊了堋舎の設計の実績があること」や

    「3000屬凌渊餞曚寮澤廚坊箸錣辰燭海箸あること」等、

    小規模の事務所ではとても応募資格に合致しないような条件が多い。

    実際、小規模な設計事務所では規模や用途で対応が難しい所もあるとは思う。

    だが、横の繋がりで小さい設計事務所が寄せ集まって、

    設計共同体としては対応可能ではないかと考えているが、

    やはりその応募資格がネックとなって参加すらできないことがほとんどである。

     

    それでもプロポーザルは人知れず募集していたりするので、

    数日置きにネット検索で参加できるものがないか探している。

    そして、今日たまたま見つけた募集しているプロポーザルに興味が湧いた。

    ただ、どうせかすりもしない応募資格かと読み進めていくと

    この10年で300岼幣紊量畋し築物の実績と記載がある。

    あっ、先月末に500屬諒〇禹楡澆完成したから要件に当てはまる、と喜んだ。

    ただ要項を読み進めていくとその10年は今年の夏までと記載があった。

    喜んだのも束の間、気分が落ち込んだ。

    どうにかならないのかと再度じっくり要項を読むと

    300岼幣紊量畋し築物の「実績」ではなく、

    「基本設計と実施設計の実務経験」とあった。

    やった、今年の2月末には設計が終わって、3月から着工しているから

    応募資格に合致する、と再び喜んだ。

    ただ、参加できるだけであって1位を取れるかは別物だ。

    それでもほとんどのプロポーザルのスタートラインにさえ立てないことが常なので、

    そのスタートラインに立てる機会を持てることはとてもうれしい。

     

    いつかは美術館の設計をしたいと思う。

    わらしべ長者ではないが、なかなかスタートラインに立てないプロポーザルで、

    そして、なかなか簡単には結果が出せない強豪の多い中で1位を取る

    それを繰り返す中で設計者としても鍛えられ、

    その数少ないチャンスや苦闘がいつか美術館の設計に結び付くように考えている。

    チャンスを得たのならば、迷わず全力で当たって戦うのみだ。

    敷地確認のついでに

    2019.11.04 Monday

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      プレゼンの機会を頂いたので、敷地確認へ行った。

      敷地確認はよっぽど遠くない限りは実際に足を運ぶようにしている。

      敷地の雰囲気はGoogleで十分確認できるが、

      その土地の周辺の空気感や匂い、風や光の感じる印象は

      やはりその土地に足を運ばないと分からない。

      また、その土地に向かう途中に計画を練るに当たって

      いろんな手がかりがあることが多い。

      やや遠い場所であったが、電車で向かった。

       

      計画敷地周辺。

      古家を解体しての新築工事となる。

      特命の依頼ではないから依頼されるかは不透明だ。

      そして、建築主がどんな性格でどんな好みかまではまだ読み切れていない。

      ただ、今までの経験からは最低限、私自身が良いと思えるプランでないと

      良い結果にならないことが多いので、

      精一杯考えて私自身が良いと思えるプランを検討してみようと思う。

      また、今回からautocad、Revitという新しいソフトを使い始めてみようと思う。

      余計に時間がかかるが、面倒くさがってはいつまでも次へ進めない。

      次へ踏み出すために、自分らしい設計ができるように、

      時間はかかっても挑戦してみようと思う。

       

      敷地からの帰りの電車で久しぶりに京都を通るので、

      せっかくなので急遽、京都国立博物館の平成知新館に行くことにした。

      設計者はここ最近、私の中でいろいろと考える材料をくれた谷口吉生氏である。

       

      敷地入り口から見た京都国立博物館の平成知新館。

      以前に完成間もない時期に一度見学に来ているが、

      約4年ぶりぐらいだろうか。

      その時もいつも通り、美術品は一切見ずに館内を行ったり来たりした。

      ただ、ここ最近、足の調子が悪く、油断したせいで

      京都駅からここまで歩いて20分ぐらいだが、

      足の裏にできていた治りかけの豆の上にさらに豆ができてしまった。

      さらに敷地内に入るだけでも1600円の入場料を取られることを思い出し、

      気分的にどっと疲れて敷地外のミュージアムショップ横のベンチに座り込んでしまった。

       

      ミュージアムショップのFIXガラスの足元廻り。

      ベンチに座りこんで休んでいた。

      ふと目を遣るといろんな納まりが気になった。

      ステンレスの衝突防止のバーは横桟と支柱の太さが同じだが、

      何故ここまできれいな接続部分なのだろうか、

      通常なら隅に支柱を設置するが、下の吹き出し口がきれいに納まるように

      敢えて設置していないのだろうか、

      ガラスの飲み込み代の寸法はいくつなのだろうか、

      水が廻りこんでガラスのパッキンを痛めないだろうか、等。

       

      ミュージアムショップの軒天。

      材質はアルミプレートの電解処理だろうか、

      通常は目地は出隅でとるが、敢えてとらない理由は何なんだろうか、

      目地を取らないので、不整形の軒天になるが、コストは余計にかかるし、

      施工は苦労したのではないか、等。

       

      折角ここまで来て建物近くまで行かないことがもったいないようにも思ったが、

      ミュージアムショップだけでもこれだけいろいろと考えさせられることで

      ある意味、お腹がいっぱいになった気分になったので、そのまま帰ることにした。

      豆があまりにも痛いので、帰りはバスに乗ろうとしたが、

      3連休でバス停も行列が出来ており、バスが到着してもその行列の1/3程度の人しか乗れず、

      あきらめて京都駅まで歩いていった。

      案の定、豆の範囲が余計に広がって顔が歪む程の痛さになってしまった。

       

      帰りの電車でいろいろと考えていた。

      敷地確認に行った場所にふさわしいプランを作成したい、

      目標とする建築家がいる、

      彼に近づくためにすべきことがたくさんある、

      新しいソフトも早く使いこなせるようにしたい、

      来年の予備試験まであと半年程度だが

      もっと勉強のピッチを上げていかないといけない、

      早く豆を治したい、

      一日24時間ではなく48時間にならないだろうか、等。

      家路に就く時に答えは出た、というか、

      前から答えは分かっている。

      優先順位を付けて、手を抜かず地道に一つずつやっていくしかない。

      やってはいるが、ちゃんとその通り、進んでいるか不安になる時もある。

      でも、今までいろいろと考えた結果、

      それが一番の方法だと思うから頑張るしかない。

      建築に対する熱量

      2019.11.02 Saturday

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        昨日、たまたま大学のゼミの同級生の二人と

        全く別々の内容で話す機会があった。

        どちらも建築的な内容での相談で

        私が答えるという感じだった。

        ちなみにその二人とも学生時代、

        私からするととても優秀で建築に対する熱量の大きい二人のイメージだった。

        その二人の相談に対して、私なりの意見を伝えながら

        頭では別のことも考えていた。

         

        大学を卒業して約15年経つが、

        二人ともその当時と変わらずの感じで

        それぞれがそれぞれの場所で頑張っている。

        建築に対する熱量は生まれ持ってのものだと思うから、

        自分の意思でどうこうするものではない。

        そして、私も優秀な彼らに負けないぐらい

        建築に対する熱量は大きいと考えている。

        ただ、その持っている熱量ほどに頭を働かせ、手を動かしているかと考えた時に

        まだまだ不十分なように思った。

        はっきり言って明確な答えが出てくるような内容ではないが、

        悶々と考えているうちに朝になった。

        たぶん今の私にとってこれは必要なことなのだろう。

         

        事務所を開設して以来、毎日悶々と考えているような気がする。

        仕事を依頼されること、設計に対する心構え、

        より良い設計者になるにはどうすればよいか、

        設計者以前に人としてどうあるべきか、等。

        悩み続けることが私自身を研ぎ澄ませているようにも感じる。

        ただ、その結果は遠い先にしか分からないような気もするが、

        今はいろんなことを考え、悩むことが大切なようにも思う。

        谷口吉生

        2019.10.28 Monday

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          たまに一番好きな建物を聞かれることがある。

          迷わず答える。

          谷口吉生氏が設計した豊田市美術館、と。

           

          大学を卒業して設計事務所で働き出したのは2005年だが、

          豊田市美術館はその10年前の1995年に竣工している。

          設計事務所に建築の雑誌や本が大量に置いてあったので、

          仕事の合間に片っ端から読んでいたが、

          その中で目が留まったのが豊田市美術館である。

          また、その2005年にたまたま社員旅行で名古屋の愛・地球博を訪れることになった。

          ただ、私はせっかく豊田市の近くに行くチャンスが出来たので、

          博覧会会場に着くなり、仲の良い会社の同僚と一緒に

          博覧会会場には入らず、集合時間に間に合うように急ぎ電車を乗り継いで

          豊田市美術館へ向かった。

           

          現地へ着いて建物の外部、内部をひたすら歩き回った。

          雑誌でおおよその雰囲気や内容は分かっていたが、

          天井の高さの変化や階段の作り、建物内部から見た各室までの距離感等、

          全てがわくわくするような気持ちでじっと見たり、各室を行ったり来たりしていた。

          たぶん館内の人からは怪しまれたと思うが、それが気にならないぐらいの

          ある意味、興奮した状態だった。

          最初に訪れて15年近く経つが、今までに10回近くは訪れた。

          建物を見るためだけにこれほど訪れた場所は他にない。

          何かが引き付けて止まない。

           

          谷口氏の設計する建物はシンプルで洗練されていて、

          ある種のミニマリストとして分類されている。

          私自身、特にシンプルで洗練されている建物が好きな訳ではない。

          そして、同じ特徴を持つ建築家は多くいるが、

          何故か谷口氏の設計する建物にずっと引き付けられていた。

          他の建築家と何が違うのかが、ずっと分からなかった。

          ただ、先月、コンペも参加せず、著作物も出さない谷口氏が著書を出版した。

          「私の履歴書」(谷口吉生)

          早速購入して、短期間で3回繰り返して読んだ。

           

          谷口氏がハーバード大を卒業し、お父さんも有名な建築家で、

          その当時、日本を代表する丹下健三氏の下で建築に接していたことは知っていた。

          ただ、その本を読んで今まで知らなかった谷口氏の生の声を聞けたような気がした。

          機械工学科を卒業してから建築の道へ進んだことで大変苦労をしたこと、

          若い時は徹夜続きで建築に打ち込んでいたこと、

          今も変わらず模型を通して現実の建築の完成度を高めていること、

          どの建物にも自分が関われるようにあえて事務所の規模は小さくしていること、

          時代の流れに合わせて目新しい建築は目指さないこと、

          敷地に何度も足を運びそこから発想を得ること、

          高いハードルがあっても地道に自分がすべきことをしていくこと、

          建築主や施工者に支えられて建築を作ることを自覚していること、等。

          能力も環境も私と比較しようもないが、

          ただ思った。

          私の考えや行動と同じだ。

          だから、彼の設計する建物、特に豊田市美術館が好きなのだと妙に納得した。

          考えや行動が同じでも能力も環境も違えば結果も異なる。

          それでも私を引き付けて止まない、豊田市美術館に憧れている以上、

          その考えや行動を推し進めて、もっと必死に努力して

          豊田市美術館を超える設計をいつかしてみたい。

          そう思わせてくれた谷口吉生に感謝したい。

          ジャン・ヌーヴェル

          2019.10.14 Monday

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            1、2か月前だっただろうか。

            たまたま本屋で見ていた海外の建築を紹介する雑誌を

            見ていた時に久しぶりにそのページを見た瞬間にその建物に引き込まれた。

             

            カタール国立博物館。

            砂漠のバラを模した形状をしている。

            コンセプトも読み込んでいったが、

            シンプルで明快で、その建物とコンセプトがとても合っていた。

             

            設計者はジャン・ヌーヴェル。

            今年で74歳だから日本で言えば、

            安藤忠雄や伊東豊雄と同年代。

            海外で言えば、レム・コールハースやスティーブン・ホール等。

            私が大学で建築を学んでいる頃に

            彼らの建築作品が常に建築雑誌を賑わせていた。

            ただ、正直、ジャン・ヌーヴェルはあまり興味が湧かなかった。

             

            ジャン・ヌーヴェルの最新プロジェクトの本。

            最新と言っても、少し前の本しかなかったが、

            とても興味が湧いたので、早速購入した。

            本の一番最初のインタビューの所に彼が

            「建築家は一種の触媒なのだと思っています。」とあった。

            ちょうど私も最近、私にしかできない設計を、ではなく、

            あくまで私の設計のスタンスは建築主がいて、

            その設計を行う土地があって、それぞれに耳を傾け、

            それらに私の設計の知識や経験を通して完成させる建物が

            私の目指す設計だと考えていた所なので、

            会うべき本は会うべきタイミングに出会うのだと改めて思った。

             

            私は英語はしゃべれないし、有力な建築的なバックボーンがある訳でもない。

            それに所員を多く抱えてもいないし、華々しく作品を雑誌に掲載されている訳でもない。

            どちらかというと、細かな金額を追って予算と見積に頭を抱えていたり、

            役所に提出している申請書類の細かな内容の修正を行ったり、

            この日本の神戸という場所でひたすらもがいている感じである。

            そんな状態でもいつかは日本以外の世界のどこかで

            私の設計した建物を建てていきたいと思う。

            ジャン・ヌーヴェルの経歴を細かく見て行くと、

            今は世界的な建築家ではあるが、60歳過ぎても

            いろんなコンペに提案しても落とされる方が多かった。

            きっと彼は彼でもがき続けているのだろう。

            彼と私を比べようもないが、それでももがき続ける先に何かがあると信じて、

            より良くなっていくために考えられることを必死に考えて

            死ぬまでしっかりと、もがき続けたいと思う。