広がる海

2019.02.16 Saturday

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    以前から動いている、敷地にスロープを設ける申請のため、

    昨日、警察署を訪れた。

     

    敷地を含む区域を管轄する警察署。

    設計も長くやってきているが、

    その仕事上で警察署にやってくるのは初めてだった。

    畑違いの場所なので、やや構えて窓口に向かった。

    しかし、こちらの予定している工事内容を伝えると

    特にこれと言ってややこしいことも言われず了承してもらったので、

    逆に拍子抜けした。

     

    申請しようとしている歩道部分。

    警察署を出た後、作図した申請図の内容を現地と比較、確認するために

    久しぶりに計画地に向かった。

    測量図を元に申請図を作図していたが、

    現地と同じ寸法であることを確認した。

     

    敷地近くの側道。

    古くからある側道のため、上の交通量の多い道路と比べ、

    突然、アンダーグラウンドな雰囲気だった。

    この雰囲気は嫌いじゃない。

     

    敷地南側に広がる海。

    申請図の内容を現地で実際、確認し、

    雨水処理は周辺の敷地でどのようになされているか調べ、

    スロープと道路との接続部分の検討等を行い、

    最後にまだ行ったことがなかった、

    敷地南側の防波堤に登り、海を眺めた。

    今回の申請で道路から敷地へ下りるスロープは

    早い段階で施工することになりそうだが、

    建物はまだ先の計画とのこと。

    ただ、今まで敷地北側の道路側のみの話だったので、

    あまり海側を意識してこなかったが、南側の海は水平線が見えるほど、

    何も遮るものがなく、とても眺望が良かった。

    いつか建つ建物の設計をする機会があるなら、

    ぜひともこの眺望を生かした設計がしてみたい、と思いながら、

    敷地をあとにした。

    バランスが取れてきた

    2019.02.13 Wednesday

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      JUGEMテーマ:人生論

      昨日は誕生日だったが、朝から熱が出て調子が悪かった。

      しかし、午後からここ最近では最後のプレゼンの約束があったので、

      無理を押して打合せに行ってきた。

      非住宅の計画案件で私なりの工夫を凝らした案を提案してきたが、

      建築主にも「この案は面白そうです。」と言ってもらえた。

      他の設計事務所と競合しており、

      ローンや家族との調整もあるとのことで、春以降に返答をもらう予定だ。

       

      設計事務所の仕事は打合せ、設計、現場監理を経て、建物が完成する。

      小売業と異なり、この会社の商品は良いからと言って、

      いわゆる、リピーターのお客様というのは存在しない。

      仮に建築主が私の仕事ぶりにほれ込んでくれたとしても、

      その建築主から同じように設計の依頼が再び来ることはない。

      なぜなら、すでに建物は建っているのだから。

      強いて言うなら、完成した建物の見栄えが良い等で異なる建築主からの

      仕事の依頼は来るかもしれない。

      ただ、私としてはもちろん見栄えする建物を設計したい気持ちもあるが、

      私と共に、完成する建物へ向けて、建築主が信頼と尊厳を持って打合せに臨み、

      対等に協力し合える関係で建物完成することが一番の望みである。

      仮に見栄えが悪くても、建築主と設計者が試行錯誤して計画内容を固め、

      施工者がその思いを受けて完成した建物はどんな建物よりも素晴らしいと考えている。

       

      また、売り上げが上がってくると設計事務所を法人化することも考えたりする。

      人を雇ったり、税金対策のためである。

      実際、いろんな設計事務所のHPを見ていると、早い時期に法人化している設計事務所もある。

      現在の私は一応所員はいるが、実質的に一人で全てを行っている。

      営業活動的なプレゼン案を考えたり、打合せ中の建築主と一緒にショールームを廻ったり、

      カウンターの厚みは25mmにするか、30mmにするか悩みながら図面を書いたり、

      申請関係で役所と折衝したり、現場で現場監督と打合せをしたり。

      確定申告も自分で提出している。

      通常であれば新人時代に図面の書き方を覚え、

      中年になれば下の所員達を取りまとめ、案件ごとの進捗管理を行い、

      組織の上の者になれば営業活動がメインで図面を書くこともなくなるだろう。

      それは独立して設計事務所を始めた人も同じことだし、

      その方が自然の流れかもしれない。

      それに仕事が増えてくれば全てを一人でこなすことも無理になる。

       

      昨日の誕生日の時に誕生日プレゼントに何が欲しいかいろいろと想像したが、

      出た結論としては「人として常識的で品性がある建築主からの仕事の依頼」だった。

      自分としてもきれいすぎる回答だったので、

      そんなきれいごとではなく車や腕時計等はどうか、

      本当の所はどうかと再度、真剣に自問自答したが、

      答えは変わらなかった。

       

      昨日のプレゼン後、帰り道、考え事をしていた。

      もう少しで事務所を開設して丸3年で、

      特にこの1,2年は先々の仕事の不安から

      怪しげな会社の仕事や下請け仕事、

      初対面でもこの建築主の仕事はまずいなと察するような仕事でも受けてきた。

      不安な気持ち以上にリスクが高すぎる仕事は断ってはいたが。

      しかし、いつも手帳に書いていた案件、

      それは望むと望まないとの区別なく、受けようとしていた案件が手帳の

      上から下まで埋まっていたものが気付くと手帳の半分ぐらいに絞れていた。

      この1,2年はやみくもに仕事を受けようとしつつも、

      逆にいかにそれらを減らすことができるかの試行錯誤でもあった。

      帰りの電車で手帳を眺めていると、

      着工中案件、打合せ中案件、今後依頼を受けるかもしれない案件の数が

      この3年で初めて質、量的にバランスが取れた内容になっていた。

      しかも、それらの建築主は私の求める建築主にもなっていた。

       

      私は結局、見栄えの良い建物を建てて有名になりたい訳でもないし、

      自分の設計事務所を法人化して組織として大きくしたい訳でもない。

      自分で図面を書くことを放棄してまでも経済的に豊かになりたい訳でもないし、

      できれば死ぬ最後の日までカウンターの厚みを悩んでいたい。

      私の求める建築主と納得のいく建物を建てていきたいだけである。

      ただ、この瞬間だけかもしれないが、その望む状況になってきたことに

      自分自身驚いたし、人生は本当に望めばそうなるようにできているのかもしれないとも思えた。

      ほっとしたのか、昨日の午後から今日一日寝込んでしまったが、

      なんとなくうれしい寝込みだった。

       

      設計という仕事は難しい。

      設計自体に良い悪いもあるし、設計内容が建築主に合っている合っていないもある。

      建築主の計画の立案がなければ設計自体始まらないし、

      建築主の人間性、社会経験、設計・施工への理解によっても左右されるし、

      どんなに良い設計図が出来上がっても、施工者の技量によって建物の完成の良し悪しは決まってくる。

      さらに設計者が望む建築主もいるし、その逆もいる。

      考え出すと数限りない要素があり、設計者が望む「設計」が行える機会があるのか

      分からなくなってくるが、私の望む「設計」を行える日が確実に近づいてきたように思う。

      それはそれでうれしいことだが、これはあくまでスタートラインとも言える。

      これから、この状況、そして、この思いを継続させていけるかが

      本当の勝負だと思う。

      メーカーの営業さん?

      2019.02.11 Monday

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        JUGEMテーマ:人生論

        いろいろなメーカーにカタログの送付依頼をすると、

        6,7割の確率で数日以内に電話がある。

        知らない番号の着信で出てみると、案の定、メーカーの営業さんで

        カタログを事務所に届けに行きたいという内容である。

        ただ、経験上、新商品等の有益な情報もあるが、

        ほとんどがカタログを読めば分かるような情報を1,2時間かけて話すので、

        基本的には訪問はお断りしている。

        彼らの仕事が、会って商品をアピールすることだからしょうがないのも分かるが、

        こちらからすると貴重な時間が減ってしまうので、それはそれでしょうがない。

         

        そして、先週、知らない番号から着信があった。

        数日前にカタログを依頼した所だったので、

        営業さんかと思いながら、出るのも礼儀だと思って電話に出ると、

        「田中さんの事務所でしょうか。」

        「はい。」

        「鉄骨造の店舗の設計のご相談は可能でしょうか。」

        「はい!?」

        なんと設計依頼の相談だった。

         

        今日、その電話連絡頂いた建築主ご夫婦とお会いした。

        ご夫婦は関東在住でご実家が神戸とのこと。

        また、現在、敷地には店舗併用住宅が建っているが、

        それを取り壊して新たに重量鉄骨造の店舗併用の二世帯住宅を計画中とのことだった。

        まだ動き出したばかりで分からないことだらけとのことだが、

        設計を依頼するのは私も含め、すでに2,3社に絞っているらしい。

        諸事情で着工は2年後ぐらいを考えているので、

        その間に依頼する設計事務所や計画内容を詰めていく予定らしい。

        ご夫婦ともさわやかな印象で、話す言葉も選びながら話しているのが伝わり、

        人柄も好感が持てた。

        こんな人達と協力して設計を進めて行けたら、

        きっと素晴らしい建物になるだろうなと強くイメージができた。

        また、数か月後に帰省されるとのことだったので、

        再会を約束して別れた。

         

        午後からは以前にホームページに連絡頂いた方への

        初回プレゼンを行ってきた。

        リノベーションなので、現地調査をしないと本当の意味での設計はできないが、

        事前に頂いていた当時の図面と完成イメージ画像で私なりにイメージを膨らませてプランしたが、

        どのような考え方でどうしてこういうプランになったかを一通り説明すると、

        建築主から一言、「良い建物になりそうなイメージが湧いてきました。」と言って頂けた。

        また、前回時点で私に依頼すると言って頂いていたが、

        逆に私の方が不安に思っていた。

        だが、今日も建築主の方から今後の打合せの進め方や契約時期等の質問をもらった。

        それでもまだ疑心暗鬼だったので、

        「設計事務所は実際の所、たくさんあるので、

        他を念のため確認しなくても大丈夫ですか。」と尋ねたが、

        「HPとブログと実際にお会いして、

        ピンときたので、他にはお願いしません。」とまで断言して頂いた。

        今日はいろいろとイメージ共有が進んだ感じで

        私なりに仕上がりのイメージも具体化してきたので、

        今後も建築主とのやり取りを進めながら、質の高い設計を進めていきたいと思った。

         

        今日初めてお会いした人で、年が明けてからこの1か月で3組目。

        全ての案件が設計をさせてもらうことにはならないかもしれないが、

        それでも縁もゆかりもない人から設計相談の連絡が来ている。

        この春で事務所を開設して丸3年で、

        まだまだ完成物件も少ない。

        プロポーザルも不定期に参加しているが、まだ結果は出ていない。

        設計とは何なのか、という自分に課した命題にも明確な答えは見いだせていない。

        それでも、この3年は自分なりに濃密でかつ、必死に設計というものに対して

        正面からぶつかっていった時間を過ごしてきたという自負はある。

        事務所を開設した当時は社会の隅っこで細々と戦っていこうと心に決めて今に至る。

        その一部始終を誰かが見ていてくれたわけではないし、

        設計能力、法律の知識、人間性、コミュニケーション能力等、

        優れた人と比べると劣っている自分を感じるが

        全てひっくるめて戦っていこうと自分に誓った時から何かが変わっていっているのかもしれない。

        結局、最後はこの一言。

        精一杯がんばろう。

        泊まりで打合せと地鎮祭

        2019.02.10 Sunday

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          JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

          愛媛の案件は依頼する施工者が決定した。

          まだ詰めるべき内容は残されているが、

          着工の目処が付いてきた。

          今回は施工者との打合せ、建築主との打合せ、地鎮祭と

          内容が盛り沢山だったため、泊まりで愛媛へ向かった。

          以前にプロポーザルで2次審査に進んだ時以来である。

           

          地鎮祭前日の敷地の様子。

          バスとJRを乗り継いで久しぶりに計画敷地に足を踏み入れた。

          ようやく着工するんだと、なんとなく心が満たされた気分だった。

           

          現地に着いてまず施工者の会社を訪れ、

          計画内容の擦り合わせや今後の流れを確認した。

          電話やメールで何度かやり取りはしてきたが、

          会うのは初めてだったが、年も近く、

          こちらが想定しているよりもいろいろと段取りを進めてくれていたので、

          多少安心した。

          現場が始まれば、施工者に頼らざるを得ないので、

          連絡相談を密にして完成までしっかり進めていきたいと思う。

           

          当初、この日の晩は建築主と飲みに行く予定だった。

          しかし、ここ最近計画内容の変更がいくつかあり、

          特に外観の変更内容で気になる所があり、

          念のため、以前に作成したパースデータを

          変更内容で修正してみると、

          このまま変更してはまずいのではないかと思い始め、

          急遽、打合せをさせてもらうことになった。

          打合せをしていろいろと話す中でいくつかの内容を変更前の内容に戻すことになった。

          ほぼ計画内容も決まった上での多少の変更であったし、

          そもそも飲みに行く約束だったので、

          正直、打合せは不要かとも思ったが、何となくここで気を緩めると危険な気がしていたので、

          無理を言って打合せをさせてもらったが、結果的に打合せをして良かったと思った。

           

          地鎮祭の当日。

          計画敷地へ15分前に着いたが、神主さんや施工者がすでに準備を終えていた。

          先日の地鎮祭は30分前の到着でも微妙な感じだったが、

          今日は予定時刻通りに建築主も来られて、普通に地鎮祭を始めることができた。

           

          地鎮祭後、そのまま帰るつもりだったが、

          建築主がまだ気になる点があるということで

          連日の打合せをすることになった。

          打合せ時間はわずかであったが、

          また計画内容を濃密にすることができたように思う。

           

          帰りのバスでその打合せ中に建築主の奥さんから言われた一言を思い出していた。

          「田中さんは設計の仕事が向いていると思います。」と言われた。

          設計の仕事はしているが、設計に向いているか向いていないか等はあまり考えたことがなかった。

          どちらかというと、特別な美的センスがあるとも思えないし、

          コミュニケーション力に長けているとも思えない。

          ただ、設計が好きだということは確かだ。

          そして、その奥さんの友人がたまたま同時期におそらくハウスメーカーで家を建てているらしく、

          そこと比較して急な変更にも対応し、真面目に説明・検討すること等を評価してもらっているようだった。

          この建築主とは打合せを1年以上行っている。

          私自身も良い建物にしたいと考えているし、建築主にもその熱意を感じている。

          そのため、説明や検討に時間がとてもかかるし、行きつ戻りつをかなりの回数繰り返してきた。

          私の考える設計はそのような手間のかかる地味な作業を地道に進めていくことだと考えているが、

          人によってはそれを望まない人もいるだろうし、実際時間がかなりかかるので、

          そういう進め方を嫌がる人もいるかもしれない。

          いろんな人がいるようにいろんな設計の仕方があると思う。

          どんな設計の仕方が正解かも分からないが、

          私は私なりに筋を通して設計しているつもりだ。

          ただ、それは正しいやり方なのかは自分では分からない。

          しかし、その実際に打合せをしている建築主から「設計の仕事が向いている」まで言われ

          自分のやっていることを肯定されたような気がしてうれしかった。

          また改めて考えると、自分で設計事務所を始めてから今まで紹介での仕事がほとんどだったが、

          この建築主は何の縁も繋がりもない初めての建築主である。

          そして、気付けば最近はその何の縁も繋がりもない建築主からの仕事が増えつつある。

          事務所を始める前は私のことを知らない人から仕事を依頼される日なんて来るんだろうかと思っていたが、

          それが徐々に現実化していることに不思議な感じがする。

          きっと今後も地味で地道な私なりの設計の仕方は変わらないが、

          今はこの方法が正しいと信じてこの道を進んでいきたいと思う。

           

          手がかりはいろんな所にある

          2019.02.07 Thursday

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            以前に相談のあった道路と段差のある敷地の

            申請を行っている。

            今日はその担当者と打合せを行ってきた。

            警察との交通対策等も必要なので、来週には

            警察署にもその打合せで行く予定だ。

             

            今回は申請+スロープの設計という、

            建築設計をメインにしている事務所からすると、

            ほぼ内容は土木設計でやや畑違いの設計なので、

            手こずっている。

            スロープの設計自体はしたことがないので、

            以前から悩んでいた。

            鉄骨造の建物に携わったこともあるし、

            鉄骨造の建物の本なら持っているが、

            鉄骨造のスロープとなると経験も資料もないので、

            イメージが湧きにくい。

             

            役所からの帰り道、駅のホームで電車を待っていると

            ふと見上げたら、ホームの上屋は鉄骨造だった。

            しかも、よくよく考えると、

            鉄骨造でも通常の建物とは異なるものである。

            なんとなくスロープ設計の糸口が見えたような気がした。

            何でもそうだが、必死に考えてもその時は答えが見つからない時もある。

            ただ、考え続けているうちに思わぬ所で手がかりを見つけることがある。

            何事もあきらめずに続けることは重要だと思う。