建築主と配筋検査

2019.03.30 Saturday

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    昨日、愛媛の案件の配筋検査があった。

    しばらく何回も足を運ぶので、

    試しに、初めて一番コストを抑えたほぼバスのみでの

    往復で行ってきた。

    朝7時前に神戸を出発し、

    現場に着いたのは14時前だった。

     

    配筋の様子。

    防湿シートもめくれなどがなく、

    配筋もきれいで被り厚もしっかり取れていたので、

    一安心した。

     

    現場へ着くと、建築主と職人さんが待っていた。

    私はいつも木造に関しては同じ構造設計者に信頼している。

    何故なら、仕事ぶり・知識・経験共に信頼できるからだ。

    ただ、基礎工事の職人さんと話していると鉄筋が多いと苦笑いされる。

    ただ、これは過剰に鉄筋を配置している訳ではなく、

    プランに応じてしっかり配筋計画を建てている裏返しなので、

    職人さんにはその旨を伝えて、必ず、ご苦労様と言うようにしている。

    一般の家よりは手間がどうしてもかかるはずだから。

    また、建築主もまじまじと配筋を見るのは初めてで

    いろいろと質問があった。

    それぞれにお答えしたが、いきなり全てを理解はできないと思うが、

    その時その時で私の方もしっかり伝えれば、

    いつかその意図が伝わる日が来ると信じてお答えした。

    その後、奥さんも到着し、わずかの時間ではあったが、

    基礎工事の概要とその他の気になる点等の打合せを行った。

     

    14時前に着いたが、帰りは15時半前には出発しないと神戸に辿り着かない。

    帰りはご主人に車で最寄り駅まで送ってもらった。

    車中、「遠い所まで足を運んでもらって申し訳ないです。」と言われた。

    「とんでもない。設計の仕事を依頼してもらっただけでも

    ありがたいですし、現場に確認に来るのも設計の仕事のうちです。」と答えた。

    これは大げさに言っている訳ではなく、本当にそう思っている。

    設計は図面を書いただけでは終わらない。

    その図面を元に現場がきちんと進んでいるかを確認することも設計である。

    また、結局、神戸に着いたのは22時を回っていた。

    実際、移動だけで16時間近くかかっているので、

    確かに距離も決して近くはない。

    だが、不思議と辛くない。

    理由は分かっている。

    良い建築主と良い打合せをして、

    良い施工者に施工してもらっているから、

    完成に近づいていく現場を見ることが楽しみだからだ。

    それこそ、この設計の仕事をしていて、

    一番望んでいることだ。

    コンクリートの養生期間でしばらく現場には来ない。

    次は上棟の日に来る予定である。

    今から楽しみだ。

     

    役所

    2019.03.29 Friday

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      建物を建てるに当たってどうしても避けられないことがある。

      役所へ行くことである。

      建築基準法、その他法令、条例、等、建物を建てる時に

      必ず何かしらの法令による縛りがある。

       

      役所の風景。どの役所も当たり前だが、

      担当課がたくさんあり、まず、建物を建てるに当たって、

      何を確認しなければいけないのか、

      そして、その内容を確認できる課はどの課になるのかを

      役所の受付で確認したり、各課を回って目的の課に向かう。

      通常は市役所や町役場に行けば、事足りるが、

      場合によっては、別の建物や場所に担当課があることもあり、

      二度手間になることも多い。

       

      先日、現在計画中の簡易宿泊所で旅館業の営業許可申請の打合せのために

      役所へ担当課と打合せのために向かった。

      事前に予約を入れていたので、

      担当課へ到着すると関連する課の方も来ており、

      5人の人と面と向かう形で打合せが始まった。

      こちらの質問に対して的確に回答を返してくれ、

      かつ、今後、どのような流れでどのようなことに気を付けるべきかも教えてくれた。

      また、役所は責任を取るようなことを言いたがらないが、

      一連の流れがどの程度の期間がかかるのかも参考ではあるが、

      細かく教えてくれた。

      役所とのやり取りは基本的にいろんな意味でストレスを感じることが多いが、

      その日の打合せは実り多いもので、かつ、気分良く打合せをすることができた。

       

      私は基本的に役所が嫌いである。

      何故なら、こちらから無茶な要求を挙げている訳でもなく、

      ただ、普通に問合せているのに、

      高圧的な態度で対応してきたり、

      責任を取りたくないのか、

      十分な情報を開示してくれないという経験が多いからである。

       

      役所とは違うが、大学生の時、

      建築学科へ編入するために入りたいと思える大学に

      片っ端から編入試験があるかどうか、

      また、その試験があるとして試験問題はどの程度の内容かを確認したことがある。

      ある関東の国立大学の教務部でその内容で問い合わせた。

      過去の問題はあるか尋ねると、現地で閲覧可能らしい。

      ただ当時私は札幌に住んでいたので、費用は払うので、

      送付できないか尋ねたが、公平性のため、それはしていないとの回答。

      それは近くに住んでいる人が有利になるだけではないかと聞くと、

      「決まりなので。」と。

      また、私は高校も文系コースでそのまま文系の法学部に入ったので、

      高校の理系の数学、大学での数学を知らない。

      そこで、参考書の目次を見ながら、そのどちらの数学が問題と出るのか尋ねると

      「大学での数学ではなく、高校までの数学です。」との回答。

      そして、その大学の過去問のためだけに数万は掛けられないということで、

      必死に高校までの数学を勉強して受験に臨んだ。

      試験前日に現地へ行き、過去問を一目見ておこうと考え、

      その大学の教務部へ向かった。

      見せてもらうと言葉を失った。

      数学の問題が大学の数学の問題ばかりだった。

      教務部の人に以前に電話した時のやり取りを伝えると、

      申し訳なさそうな表情をするでもなく、

      「あー、それはすいません。」

      それだけだった。

      すぐに宿泊するホテルに戻り、無駄なのは分かっていたが、

      徹夜で試験に出るであろう、大学の数学の範囲を詰め込んだ。

      そして、当然だが、実際の数学の試験では半分も解けなかった。

      午後から面接が行われたが、教授陣から質問が来る前に

      教務部でのやり取りを話し、

      「今後、こんな受験生を出さないようにお願いします。」と言って、

      そのまま面接会場を立ち去った。

      その出来事以来だろうか、役所の人の発言や行動に不信感を持ったのは。

       

      パレートの法則というのがある。

      例えば、ある会社の売り上げは2割の従業員が8割を稼いでいる、というものである。

      2:8の法則とも言われているが、いろんな場面でそれが当てはまることが多い。

      役所の人も人によっては、非常に賢く、私の知り合いでも公務員はいるが、

      彼らはとても優秀だ。

      ただ、実際にいろんな場面で役所とやり取りする時に

      パレートの法則が本当に当てはまる組織だなと思う。

      民間の会社でもそうかもしれないが、

      ただ、民間であれば立場が同じ、もしくはこちらに売り込みにくる場合は

      下手に出てくるので、それがブレーキとなってそこまで横暴さは感じない。

      それでも、私も設計の仕事で社会に出て10年ちょっとだが、

      ネットの影響もあってか、役所に行ってもあまりにひどい人達に出会うことは少なくなった。

      結局、役所もサービス業だからあまりにひどい仕事ぶりだと

      ネットを通じて知れ渡ってしまうからではないかと考えている。

      どんな組織でも優秀な人もいれば、やる気のない人もいる。

      ただ、今の世の中は役所に求められる仕事は多種多様で

      より質の高い仕事が求められていると思う。

      仕事をしていて思うが、

      それぞれの人達がそれぞれの当たり前にすべきことをしっかりやってくれたら、

      社会はもっと良くなるように思う。

       

       

      水道工事打合せ

      2019.03.27 Wednesday

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        先日着工した福祉施設の現場だが、

        開発届出に関わる下水工事の大幅な増額で

        なかなか着工できなかったが、

        何か所かの試掘を元に金額をはじき出して

        その金額で着工している。

        逆に言うと、細かな部分がまだ詰め切れていないので、

        その内容を現場打合せするために現場へ向かった。

         

        敷地の西側から東側を見た所。

        敷地がいびつな形をしており、

        細長いL型をしている。

        そのため、建物計画もそれに合わせた細長い形になった。

        建物の長辺に当たる場所が写真の場所だが、

        端から端が見えないぐらいに距離がある。

        施工者も墨出しをするのに苦労していると言っていた。

         

        現場事務所で水道業者と打合せを行ったが、

        やはりこちらの図面意図を読み間違いもしている所もあり、

        逆に施工者からすると図面通りではなく、

        いくつか変更した方がコスト的にも施工的にもより良いことが分かった。

        毎回思うが、現場打合せなくして建物は完成しないと改めて思った。

         

        以前に開発届出は下りているが、

        その微調整のための変更を確認するために

        役所へ連絡を入れた。

        悪い意味で懐かしい声が聞こえてきた。

        早速、施工者からの微調整の変更内容を伝えたが、

        思った通りの展開だった。

        「排水の係数は行政の決まりだとこの数値ですが、

        このように考えるとそれは満たされると考えて良いのでしょうか。」

        「うーん、その考えだとこちらの別の数値が満たせないかもしれないですね。」

        「ただ、その別の数値を満たそうとすると、そもそも敷地から排水できないと

        思うのですが。」

        「うーん、それはそうですが、決まりなので。」

        この後の展開は今までさんざん経験しているので、

        ありがとうございました、と電話を切った。

        水道業者からの提案は一部舗装を浸透性のものにすれば

        下水の全体のバランスがコスト的にも施工的にも良くなるという内容だったが、

        わざわざ敷地内で水を浸透させた上でも排水してはだめって、

        どんな公共下水管?

        またこの日々が続くと想像するだけでどんよりしてしまうが、

        せっかく着工まで漕ぎつけたのだから、

        役所の対応に負けずに淡々とすべきことをしていく。

        予備試験の勉強

        2019.03.24 Sunday

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          JUGEMテーマ:法律

          今年の予備試験短答まで2か月を切った。

          相変わらず、勉強は進んでいないが、

          最近、仕事が目が回るまでの忙しさではなくなってきたので、

          昨日は久々に行政法の基本書を読み込んでいた。

           

          使っている基本書、問題集等。

          予備試験を始めた頃からすればかなり量は減らしてきた。

          これだけ減らしてもまだ一回も読んでいないものもある。

          これ以上減らすのは難しいが、そもそも時間がないのは

          分かり切っていることだから、なんとかこれだけでも

          ものにしていくしかない。

           

          去年の予備試験の問題冊子。

          憲法・行政法の冊子はかなり書き込みをしているが、

          その他の冊子は去年の試験以来ぶりにページをめくった。

          その時点でなんとも言えないもやもやした気分になった。

           

          話は変わるが、今までに建築主から何度か

          「田中さんの設計事務所の売りは何ですか。」と聞かれたことがある。

          星の数ほどある設計事務所と比べて

          私の事務所だけの売りはぱっと思いつかない。

          また、その売りをぱっと言う設計事務所は

          素人は騙せるかもしれないが、同業者からすれば逆に怪しい気がする。

          私の設計は、建築主の話を真剣に聞いて、イメージを共有し、

          こちらからそのイメージを出来る限り、

          上回るような提案をするように心掛けている。

          そして、当たり前のことだが、

          報告・連絡・相談はきっちりするように注意している。

          ただ、10年以上設計をしてきて分かったのは、

          その普通のことが意外と普通ではなく、

          本当は売りにできることである。

          しかし、建築主からすれば、

          そんなことは当たり前にしてもらえると考えているはずなので、

          それが売りです、といった所で理解はしてもらえないと思う。

           

          また、予備試験の勉強をしていて思うのが、

          仕事も予備試験の勉強も同じだなと思う。

          その分野のルールを分かった上で専門用語を理解して、

          個々の事例に応用して自分なりに解いていく。

          そして、設計・建築は雑学の最たるものなので、

          純粋な理系の建築学科卒の人とは違う考え方で

          設計・建築を私なりに解いていっているように思う。

          今まで建築と法学は別々のもので融合しては役立たないと思っていたが、

          そんなことはないことが言葉ではうまく言えないが、

          分かってきた。

          ただ、言葉でうまく言えない時点で建築主にも伝えられないが。

           

          予備試験、そして、その先の司法試験で結果を出すのはまだ時間がかかりそうだが、

          設計の仕事にも通じる、表には見えてこない地味な作業をこつこつと続け、

          それを継続していくことは、予備試験等にはもちろん必要だが、

          さらには設計へも目に見える形で反映できる気がする。

          日々の時間を大切に、それぞれに邁進したいと思う。

          テレビを見ていて

          2019.03.20 Wednesday

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            最近、クイーンを題材にした映画、

            「ボヘミアンラプソディ」が大ヒットしているが、

            先日、そのクイーンの特集番組があり、

            それを録画していたので、今日見ていた。

            場所がかさばるので、パソコンに落としたり、処分してしまったが、

            私自身、音楽、特に洋楽が好きで

            高校から大学の間で購入したCDは1000枚を超えていた。

            その中にクイーンのアルバムも何枚かあった。

            その特集番組ではデビューからシングルのボヘミアンラプソディが

            ヒットするぐらいまでの内容であったが、

            下積み時代はかなり苦労していたことを初めて知った。

            また、先の見えない中でも自分達が良いと思えるものを作ろうということで

            ボヘミアンラプソディが出来たことも初めて知った。

            曲を発表して40年以上経っているが、

            未だに色褪せないのはすごいなと思いながら、

            その番組は終わった。

             

            録画番組を停止すると、たまたまニュースをやっていた。

            東京オリンピックの聖火リレートーチデザインが決まった、という内容だった。

            桜をモチーフにシンプルだけど、力強くて、しゅっとしている。

            単純に良いデザインだなと思った。

            そのニュースを続けて見ていると、

            デザイナーは吉岡徳仁氏。

            やはり、という感じ。

            インタビュー内容も聞いていると、

            そのコンセプト、その形、その素材、

            全てにおいて吉岡徳仁氏の考え方、検討を重ねたことが行き渡っていた。

            そして、その時、よぎったのが、東京オリンピックのエンブレム。

            最初のもの、最終的に決まったもの、

            それぞれを見た時に「これかー」と思ってしまった。

             

            昨日、最近のプロポーザル結果、自分が入賞しないことよりも

            その入賞したものに対するなんとも言えないもやもやがあった。

            ただ、今日たまたまテレビを見ていて、

            それぞれ、音楽と聖火トーチ、あまり馴染みのない分野だが、

            思ったのが、時代の流行りや専門家の主観には関係なく、

            「良いものは良い」ということは誰も否定できないと思った。

            クイーンもレコード会社にボヘミアンラプソディの演奏時間が長すぎて、

            その当時のメインの媒体であるラジオの放送時間に合わないという理由で

            曲を変えろまで言われたが、彼らが良いと思うものを作ることにこだわり、

            結果、大ヒットした。

            吉岡徳仁氏も以前にNHKのプロフェッショナルで考え方等を拝見したが、

            万人受けするデザインは目指しておらず、

            その時その時の依頼主の望むものを地味ながら検討を重ね、

            最終のデザインを目指して一歩ずつ進めていくやり方をされていた。

             

            設計は特に設計者のみで仕事が完結しない。

            建築主を筆頭に、施工者、メーカー、役所、等多くの関係者とのやり取りの中で

            建物が完成していく。

            プロポーザルを提出していても思うし、

            ある種の建築主とのやり取りをしていても思うが、

            万人受けする設計をした方が良いのではないか、との誘惑に駆られることがある。

            きっとその瞬間は評価されるし、その相手方にも「良いもの」のようだと判断されると思う。

            ただ、私自身が気付いている。

            そんなものを作っても本当に良いものにはならないことを。

            それは「良いもの」のような雰囲気だが、決して本当の意味では「良いもの」ではない。

            「良いもの」は決して万人受けするものではなく、

            建築主と設計者だけは「良いもの」と感じられ、

            地味な検討を重ねて一歩ずつ進めていったものが「良いもの」になる。

            万人受けはしないが、時間が経っても色褪せないし、

            見る人が見れば良いものだと分かるものである。

            すぐに誰にでも良さが伝わるものではないが、

            じわじわとその良さが伝わるものだと思う。

            私が設計をしていく中で目指していく所はきっとそういう所なのだと思う。