バランスが取れてきた

2019.02.13 Wednesday

0

    JUGEMテーマ:人生論

    昨日は誕生日だったが、朝から熱が出て調子が悪かった。

    しかし、午後からここ最近では最後のプレゼンの約束があったので、

    無理を押して打合せに行ってきた。

    非住宅の計画案件で私なりの工夫を凝らした案を提案してきたが、

    建築主にも「この案は面白そうです。」と言ってもらえた。

    他の設計事務所と競合しており、

    ローンや家族との調整もあるとのことで、春以降に返答をもらう予定だ。

     

    設計事務所の仕事は打合せ、設計、現場監理を経て、建物が完成する。

    小売業と異なり、この会社の商品は良いからと言って、

    いわゆる、リピーターのお客様というのは存在しない。

    仮に建築主が私の仕事ぶりにほれ込んでくれたとしても、

    その建築主から同じように設計の依頼が再び来ることはない。

    なぜなら、すでに建物は建っているのだから。

    強いて言うなら、完成した建物の見栄えが良い等で異なる建築主からの

    仕事の依頼は来るかもしれない。

    ただ、私としてはもちろん見栄えする建物を設計したい気持ちもあるが、

    私と共に、完成する建物へ向けて、建築主が信頼と尊厳を持って打合せに臨み、

    対等に協力し合える関係で建物完成することが一番の望みである。

    仮に見栄えが悪くても、建築主と設計者が試行錯誤して計画内容を固め、

    施工者がその思いを受けて完成した建物はどんな建物よりも素晴らしいと考えている。

     

    また、売り上げが上がってくると設計事務所を法人化することも考えたりする。

    人を雇ったり、税金対策のためである。

    実際、いろんな設計事務所のHPを見ていると、早い時期に法人化している設計事務所もある。

    現在の私は一応所員はいるが、実質的に一人で全てを行っている。

    営業活動的なプレゼン案を考えたり、打合せ中の建築主と一緒にショールームを廻ったり、

    カウンターの厚みは25mmにするか、30mmにするか悩みながら図面を書いたり、

    申請関係で役所と折衝したり、現場で現場監督と打合せをしたり。

    確定申告も自分で提出している。

    通常であれば新人時代に図面の書き方を覚え、

    中年になれば下の所員達を取りまとめ、案件ごとの進捗管理を行い、

    組織の上の者になれば営業活動がメインで図面を書くこともなくなるだろう。

    それは独立して設計事務所を始めた人も同じことだし、

    その方が自然の流れかもしれない。

    それに仕事が増えてくれば全てを一人でこなすことも無理になる。

     

    昨日の誕生日の時に誕生日プレゼントに何が欲しいかいろいろと想像したが、

    出た結論としては「人として常識的で品性がある建築主からの仕事の依頼」だった。

    自分としてもきれいすぎる回答だったので、

    そんなきれいごとではなく車や腕時計等はどうか、

    本当の所はどうかと再度、真剣に自問自答したが、

    答えは変わらなかった。

     

    昨日のプレゼン後、帰り道、考え事をしていた。

    もう少しで事務所を開設して丸3年で、

    特にこの1,2年は先々の仕事の不安から

    怪しげな会社の仕事や下請け仕事、

    初対面でもこの建築主の仕事はまずいなと察するような仕事でも受けてきた。

    不安な気持ち以上にリスクが高すぎる仕事は断ってはいたが。

    しかし、いつも手帳に書いていた案件、

    それは望むと望まないとの区別なく、受けようとしていた案件が手帳の

    上から下まで埋まっていたものが気付くと手帳の半分ぐらいに絞れていた。

    この1,2年はやみくもに仕事を受けようとしつつも、

    逆にいかにそれらを減らすことができるかの試行錯誤でもあった。

    帰りの電車で手帳を眺めていると、

    着工中案件、打合せ中案件、今後依頼を受けるかもしれない案件の数が

    この3年で初めて質、量的にバランスが取れた内容になっていた。

    しかも、それらの建築主は私の求める建築主にもなっていた。

     

    私は結局、見栄えの良い建物を建てて有名になりたい訳でもないし、

    自分の設計事務所を法人化して組織として大きくしたい訳でもない。

    自分で図面を書くことを放棄してまでも経済的に豊かになりたい訳でもないし、

    できれば死ぬ最後の日までカウンターの厚みを悩んでいたい。

    私の求める建築主と納得のいく建物を建てていきたいだけである。

    ただ、この瞬間だけかもしれないが、その望む状況になってきたことに

    自分自身驚いたし、人生は本当に望めばそうなるようにできているのかもしれないとも思えた。

    ほっとしたのか、昨日の午後から今日一日寝込んでしまったが、

    なんとなくうれしい寝込みだった。

     

    設計という仕事は難しい。

    設計自体に良い悪いもあるし、設計内容が建築主に合っている合っていないもある。

    建築主の計画の立案がなければ設計自体始まらないし、

    建築主の人間性、社会経験、設計・施工への理解によっても左右されるし、

    どんなに良い設計図が出来上がっても、施工者の技量によって建物の完成の良し悪しは決まってくる。

    さらに設計者が望む建築主もいるし、その逆もいる。

    考え出すと数限りない要素があり、設計者が望む「設計」が行える機会があるのか

    分からなくなってくるが、私の望む「設計」を行える日が確実に近づいてきたように思う。

    それはそれでうれしいことだが、これはあくまでスタートラインとも言える。

    これから、この状況、そして、この思いを継続させていけるかが

    本当の勝負だと思う。

    スポンサーサイト

    2019.05.22 Wednesday

    0
      関連する記事
      コメント
      コメントする