みんながプロフェッショナルを目指しているわけではない

2017.12.21 Thursday

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    設計者は建物を建てるに当たって多くの人と協力して完成を目指す。

    以前にも述べたように大前提として、

    建築主・設計者・施工者の3者が同じ方向を向いていかないと

    完成という目的地にはたどり着けない。

    そして、細かい所に目をやれば建物を構成するいろんな建材や部材も

    それぞれのメーカーや職人さんの協力を得ないと結果は同じである。

     

    現在着工中の案件もたくさんのメーカーの人や職人さんとやり取りをしている。

    そして、こんなことがあった。

    あるメーカーの商品は規格品では計画上、うまく収まらないので、

    特注品で発注する必要があった。

    その部分の周辺の寸法を細かく決めていき、

    その商品の寸法も夜中までかかってきっちり決めて

    そのメーカーにその内容を伝えた。

    そして、そのメーカーから発注図があがってきた。

    そのメーカーが発注を急いでいたのと

    私自身も夜中までかかってきっちり寸法を決めて安心していたので、

    そのまま発注した。

    だが、その1週間後にその発注図を元に再確認のため、

    その周辺を含めた図面を作図していると私から指示した寸法になっていない。

    急いでそれを相手方に伝えたが、一部はすでに作り始めていたので、

    結局、作り直すことになった。

    私が決めた寸法を反映しなかったのは相手方の責任だが、

    発注図を再度確認していないのは私の責任なので、

    結構な額をそれぞれ負担することになってしまった。

     

    また、別の内容でこの案件は所謂普通の家ではないので、

    いつもの感じでは収まらない所が多々ある。

    そして、それを踏まえてあるメーカーにこちらの考え方や決めた寸法を伝えていたが、

    それを早め早めに発注図としてあげてはくれるが、

    いっこうに最終の発注図までに至らない。

    何回もやり取りしているうちにようやく気付いた。

    言われたことだけに対応しているだけで

    自分なりに考えようとしていないのである。

     

    私は建築のプロフェッショナルとして設計をしている自負はある。

    だが、反面、一生かかっても本当の意味でのプロフェッショナルに

    なれるだろうかという恐れも抱いている。

    現時点ではその目指すプロフェッショナルになるには

    「手を抜かないこと」が最も重要だと考えている。

    また、設計では仮にプロフェッショナルだとしても

    先程も述べたように建物を建てるに当たって多くの人と協力する必要があり、

    特にいろんな建材や部材に関してはそれぞれのメーカーや職人さんがその道の

    プロフェッショナルと考えていたし、彼らの知恵を借りることで

    より良い完成へ向けて進んでいけると考えていた。

    しかし、たまたま続いたメーカーとのやり取りで

    シンプルで当たり前のことに気付いた。

    「みんながプロフェッショナルを目指しているわけではない」ということに。

    それぞれがプロなのだから、

    それぞれが自分の仕事に手を抜かずに、

    より高みを目指すものだと勝手に思い込んでいた。

    もちろん、彼ら自身は手を抜いたつもりはないだろう。

    所属する会社で割り当てられた仕事をきっちりやっていたと思う。

    しかし、こちらからすると、彼らにとっては

    たくさんの仕事のうちの一つに過ぎないかもしれないが、

    私は、そして、建築主からすれば、これまでもこれからも唯一の仕事である。

    そんな思いを共有して仕事をしていたとは思えない。

    今は夜中の3時半だが、そんなシンプルで当たり前のことに気付いて

    途方に暮れている。

    今後、どうしていけば良いのだろうか。

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