地道にやっていったその先には

2019.04.13 Saturday

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    先日、いらいらが爆発しそうになっていた開発届出に関して

    担当課から連絡があり、修正内容の指示があるとのことで

    役所へ向かった。

    先日のことがあってからいろいろ考えていたが、

    役所の仕事ぶりをこちらで考えても意味がないし、

    申請や届出は避けては通れないものではあるが、

    良い建物を設計し完成させることとは

    切り離して考えるべきと思うようになった。

    今後もいらいらすることもあるかもしれないが、

    そこで無駄な力を使うのは得策ではないと思い、

    あくまで割り切って淡々と終わらせるべきと考えていた。

     

    役所へ着いて、担当の方から修正内容の説明を聞きながら

    手元に目をやると先日こちらから提出していた図面に

    いろいろと書き込みがされており、

    今までになく丁寧に説明され、

    かつ、こんな考え方ではどうかまでの提案までしてくれた。

    今までの流れとは全く異なっていたので、

    何かあったんだろうかと多少怪しんだが、

    結局こんなものかなとも思った。

    私の方もどうしても設計の一連の流れの中で

    申請等はその流れの一部であって、

    あくまで良い建物を完成させるというのが目的である。

    その手前の申請等で無駄に労力を割かれるといらいらしてしまうことは

    良くないなとも考えていた。

    割り切った気分で役所へ来た矢先に

    役所の対応が良くなっていたので、

    きっとそういうことなのだろう。

     

    その後、つい数日前にこの開発届出を提出した福祉施設の現場に行ったが、

    今日には配筋工事が終わると聞いていた。

    行くまでもないかと一瞬考えたが、

    「手を抜かず、地道に」という言葉が頭をよぎったので、

    念のため、現場へ向かった。

     

    配筋工事の様子。

    職人さんが黙々と作業を進めていた。

    先日の現場打合せやその他の質疑等も早め早めに対応しているので、

    現場監督と立ち話していたが、特に新たな質疑は出てこなかった。

    現場監督も木造でこの大きさなので、

    いろいろと苦労しているようだが、

    質疑のやり取りや現場の状況を見てもきっちりやってくれていることは

    伝わるので、その点、安心している部分はある。

     

    役所打合せと現場確認が終わり、

    中途半端な時間になったので、

    駅近くのカフェで隙間時間を利用し、法律の勉強をしていた。

    勉強をしていると、携帯電話が鳴った。

    スロープ申請を提出している役所からだった。

    修正内容の連絡だったが、

    やり取りを始めてから数か月経つが、

    今更その内容?という内容で

    またかという気分になった。

    また、諸事情でスロープの構造計算は申請が下りてから依頼する予定なのだが、

    前回の指摘事項でスロープの構造安全性の計算を求められ、

    構造計算に関してはほぼ素人に近い私が、

    大学時代の構造計算の知識を振り絞ってその構造安全性の計算書類を提出していたが、

    今回はさらに高度な内容の構造安全性の計算書を提出してほしいと言われ、

    頭を抱えてしまった。

     

    先日、ある商売をされている建築主との雑談の中で

    設計を含めたいろんな商売を見ていると、

    まじめに仕事をして商売が続いていく人もいれば

    いい加減な仕事をしているが、

    何故か商売が続けられている人もいる、という話になった。

    そして、私の考えを聞かれ、

    まじめにやったからといって商売がうまく行くとは限らないけども、

    私はまじめな仕事を続けていきたいと答えた。

    いい加減な仕事をしている人でも周りの協力があったり、

    単純に運の良さだけでずっと世の中を渡っていく人もいると思う。

    ただ、まじめにやっているのにそんないい加減な人達よりも

    売り上げが上げられなかったり、評価されなかったりしたとしても、

    それでも私はまじめに仕事をしていきたいと思う。

    理由はいい加減な仕事が嫌いで、まじめな仕事が好きだからである。

    それ以上でも以下でもない。

     

    事務所を始めて4年目に突入するに当たって

    心に刻んだことは

    「設計は手を抜かずに地道に進めていくこと」である。

    ただ、手を抜かずに地道にやっていったからといって

    良い結果が必ず待っている訳でもないし、

    それが正解という訳でもない。

    また、人それぞれの当たり前があるので、

    私の当たり前が世の中のどの程度の基準を満たしているのかも分からない。

    それでも今まで設計をしてきて、実際にしてきたこと。

    役所の対応がどうであれ、私のすべきことを淡々と進めていくこと。

    状況に合わせて現場確認はできるだけすること。

    現場からの質疑があれば早めに対応すること。

    今更という内容を言われても落ち着いて対応すること、等。

    手を抜かず、地道にやっていっても先なんて想像もしようがないが、

    3年間、自分の事務所をやってきて、

    考えて考え抜いた結論が

    「設計は手を抜かずに地道に進めていくこと」であり、

    かつ、それが私は好きなのだから

    それを継続していくことに意味があると思う。

    配筋準備

    2019.04.09 Tuesday

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      JUGEMテーマ:建築・設計・デザイン

      先日から着工している福祉施設は

      ようやく防湿シートの施工や捨てコン打ちが終わり、

      配筋を始めた所だ。

       

      東西に長い現場の様子。

      敷地入り口は南西側と東側にあるが、

      東側は広い歩道に面しているため車が入れず、

      実質的に入り口は南西側のみである。

      そのため、一番東側へ資材を運ぶ時は手運びしかなく、

      それが施工者を悩ましている。

      今週金曜に現場へ行く予定だったが、

      プレカットやその他の質疑等もいろいろとあるようだったので、

      現場側の負担を少しでも減らすために急遽、現場に行った。

      午前中に約2時間かけて、

      現場監督と大工さん、プレカット業者も交え、打合せを行った。

      いろいろと解決していったので、急遽現場へ来た甲斐もあった。

       

      敷地そばの歩道と自転車道。

      当初からの計画を変更し、この歩道部分に

      公共下水管を新設する予定。

      ただ、配管から左右1mを改築するように役所から指導されているが、

      歩道の幅は約1.8m、そして、自転車道は約2.1m。

      配管が歩道中央を走るにしても、

      歩道部分から自転車道に20cmほどかぶる。

      前任の方は歩道のみの改築を指示されていたが、

      新任の方がその20cmのために歩道よりも

      幅の広い自転車道長さ約40mの改築を指示してきた。

      このままでは事業主負担で無駄に公共財を補修させられることになりかねない。

      午前中の打合せ後、昼ごはんも食べずに

      改めて現地の寸法等を測りながら、

      良い案がないかを模索した。

      その後、水道業者も現場へ来てもらって打合せを行った。

      これが正解と言えるまでの案にはなっていないが、

      方向性は決めたので、その内容で再度役所へ掛け合う予定である。

      結局、夕方近くまで現場で確認や打合せを行っていた。

      何でも精一杯しようとすると、時間はかかる。

      それでも諦めずに、できる限りのことをやっていく。

       

       

      建築主と配筋検査

      2019.03.30 Saturday

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        昨日、愛媛の案件の配筋検査があった。

        しばらく何回も足を運ぶので、

        試しに、初めて一番コストを抑えたほぼバスのみでの

        往復で行ってきた。

        朝7時前に神戸を出発し、

        現場に着いたのは14時前だった。

         

        配筋の様子。

        防湿シートもめくれなどがなく、

        配筋もきれいで被り厚もしっかり取れていたので、

        一安心した。

         

        現場へ着くと、建築主と職人さんが待っていた。

        私はいつも木造に関しては同じ構造設計者に信頼している。

        何故なら、仕事ぶり・知識・経験共に信頼できるからだ。

        ただ、基礎工事の職人さんと話していると鉄筋が多いと苦笑いされる。

        ただ、これは過剰に鉄筋を配置している訳ではなく、

        プランに応じてしっかり配筋計画を建てている裏返しなので、

        職人さんにはその旨を伝えて、必ず、ご苦労様と言うようにしている。

        一般の家よりは手間がどうしてもかかるはずだから。

        また、建築主もまじまじと配筋を見るのは初めてで

        いろいろと質問があった。

        それぞれにお答えしたが、いきなり全てを理解はできないと思うが、

        その時その時で私の方もしっかり伝えれば、

        いつかその意図が伝わる日が来ると信じてお答えした。

        その後、奥さんも到着し、わずかの時間ではあったが、

        基礎工事の概要とその他の気になる点等の打合せを行った。

         

        14時前に着いたが、帰りは15時半前には出発しないと神戸に辿り着かない。

        帰りはご主人に車で最寄り駅まで送ってもらった。

        車中、「遠い所まで足を運んでもらって申し訳ないです。」と言われた。

        「とんでもない。設計の仕事を依頼してもらっただけでも

        ありがたいですし、現場に確認に来るのも設計の仕事のうちです。」と答えた。

        これは大げさに言っている訳ではなく、本当にそう思っている。

        設計は図面を書いただけでは終わらない。

        その図面を元に現場がきちんと進んでいるかを確認することも設計である。

        また、結局、神戸に着いたのは22時を回っていた。

        実際、移動だけで16時間近くかかっているので、

        確かに距離も決して近くはない。

        だが、不思議と辛くない。

        理由は分かっている。

        良い建築主と良い打合せをして、

        良い施工者に施工してもらっているから、

        完成に近づいていく現場を見ることが楽しみだからだ。

        それこそ、この設計の仕事をしていて、

        一番望んでいることだ。

        コンクリートの養生期間でしばらく現場には来ない。

        次は上棟の日に来る予定である。

        今から楽しみだ。

         

        水道工事打合せ

        2019.03.27 Wednesday

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          先日着工した福祉施設の現場だが、

          開発届出に関わる下水工事の大幅な増額で

          なかなか着工できなかったが、

          何か所かの試掘を元に金額をはじき出して

          その金額で着工している。

          逆に言うと、細かな部分がまだ詰め切れていないので、

          その内容を現場打合せするために現場へ向かった。

           

          敷地の西側から東側を見た所。

          敷地がいびつな形をしており、

          細長いL型をしている。

          そのため、建物計画もそれに合わせた細長い形になった。

          建物の長辺に当たる場所が写真の場所だが、

          端から端が見えないぐらいに距離がある。

          施工者も墨出しをするのに苦労していると言っていた。

           

          現場事務所で水道業者と打合せを行ったが、

          やはりこちらの図面意図を読み間違いもしている所もあり、

          逆に施工者からすると図面通りではなく、

          いくつか変更した方がコスト的にも施工的にもより良いことが分かった。

          毎回思うが、現場打合せなくして建物は完成しないと改めて思った。

           

          以前に開発届出は下りているが、

          その微調整のための変更を確認するために

          役所へ連絡を入れた。

          悪い意味で懐かしい声が聞こえてきた。

          早速、施工者からの微調整の変更内容を伝えたが、

          思った通りの展開だった。

          「排水の係数は行政の決まりだとこの数値ですが、

          このように考えるとそれは満たされると考えて良いのでしょうか。」

          「うーん、その考えだとこちらの別の数値が満たせないかもしれないですね。」

          「ただ、その別の数値を満たそうとすると、そもそも敷地から排水できないと

          思うのですが。」

          「うーん、それはそうですが、決まりなので。」

          この後の展開は今までさんざん経験しているので、

          ありがとうございました、と電話を切った。

          水道業者からの提案は一部舗装を浸透性のものにすれば

          下水の全体のバランスがコスト的にも施工的にも良くなるという内容だったが、

          わざわざ敷地内で水を浸透させた上でも排水してはだめって、

          どんな公共下水管?

          またこの日々が続くと想像するだけでどんよりしてしまうが、

          せっかく着工まで漕ぎつけたのだから、

          役所の対応に負けずに淡々とすべきことをしていく。

          ようやく着工

          2019.03.16 Saturday

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            建築主とお会いしたのは一昨年の冬。

            当初から建物が建つかどうか分からないぐらいに

            かなり厳しい予算でのスタートだった。

            概算見積を実際に作成してもやはり厳しいと判断して、

            この仕事のお断りを申し出たこともあった。

            建物が特殊建築物である福祉施設なので、

            私としてもぜひ設計したいと思っていたが、

            全ては予算ありきの話なので、仕方がないとも考えた。

            それでもやり取りの中で信頼して頂いて、

            なんとかこの計画を進めてほしいとお願いされ、今に至る。

            予算もさることながら、申請や届出も全部で6つぐらい提出しただろうか。

            特に開発届出は途中、近隣マンションの理事会の引継ぎがあったり、

            役所の一貫しない指示ややり取りで右往左往し、

            下りるまでに約8か月かかった。

            寒い日も暑い日も各理事会の方にお会いしたり、

            説明会を行うために近隣マンションへ足を運んだ。

            ようやく開発届出や確認申請が終わって

            着工準備をしていこうかとすると、

            開発届出に関わる工事金額が建物予算の2割以上かかることになり、

            そもそも着工ができない可能性が高まった。

            ただ、建築主もいろいろと試行錯誤して頂いて融資の目処が立ち、

            着工することになった。

             

            地縄張りと遣り方の様子。

            今日は午後から現地で建物配置位置等を確認した。

            現地でいろいろと確認し、

            建築主からの質疑に応答して来週から着工していくことで

            建築主、設計者、施工者とも了解した。

             

            私自身、この案件は当初から予算や役所との折衝でかなり苦しんだ。

            建築主も早く着工したいと思っているのは十分承知していたが、

            役所の部署も20近くとやり取りをするがために

            どうしてもそれぞれで時間がかかる。

            かつ、予算も気にしながら、近隣マンションとの折衝も続けながらである。

            途中何度も心が折れそうになった。

            ただ、それ以上にその状況を具体的に見聞きしていない建築主の方が

            精神的に苦しかったと思う。

            それでもここまで来れたのは建築主からの信頼があってこそだと思う。

             

            ようやく着工していくが、

            予算調整のために既に下りている開発届出の内容を修正しているので、

            改めての図面作成が必要である。

            また、限られた予算の中での建物なので、

            外壁や床材の仕様もかなり制限されているが、

            それでも少しでも良い建物になるように足掻くつもりである。

            完成までにはしばらく時間がかかる。

            現場には迷惑をかけない程度に最後の最後まで諦めずに走り切りたいと思う。