雨の街角

2019.07.14 Sunday

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    夜遅くの打合せが終わり、家路に就こうと足早に歩いていると

    ふと横目で何かあるなと思ったら、

    先日、私も提出したコンペの各案が張り出されていた。

     

    壁にコンペ各案が奥の方まで張り出されている。

    週末の飲み会帰りの人達に注目される訳でもなく、

    立ち止まっていたのは私以外いなかったのではないだろうか。

    そんなもんだよなと思いながら、自分の案はどこかと探していたが、

    打合せで疲れてもおり、雨が降っていることもあって、

    そのまま、通り過ぎた。

     

    何案の応募があったかは分からないが、ぱっと見てもかなりの数が張り出されていた。

    あの数だけの思いがあり、その一つずつにかけた時間と労力は相当なものだと思う。

    ただ、その雨の街角で改めて思ったことはただただ悔しいなあという気持ちだった。

    反面、変に達観して悔しくも思わないだけ、まだ自分に可能性も感じた。

    はっきりとした結果として出てくるのはまだ時間がかかるかもしれないが、

    この悔しい気持ちを持って、戦い続けることに意味があると思う。

    しばらく前から念仏のように自分の中で唱えているが、

    何事も手を抜かずに地道に進んでいこう。

    意匠設計者、構造設計者、設備設計者

    2019.07.10 Wednesday

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      現在、建設中の福祉施設は

      構造設計は構造設計者に、

      設備設計は設備設計者に依頼していたが、

      以前から現場を一度見たいとのことだったので、

      現地で待ち合わせをし、現場確認の機会を持つことになった。

       

      現場確認の様子。

      私自身も以前から思っているが、構造、設備設計者、

      それぞれの目で見てもきっちり施工していることを口々に話していた。

       

      世の中で言う「設計者」とはほぼ意匠設計者を指す。

      建築主とのやり取りや現場監理、

      建築計画の全体を統括するのはほとんど意匠設計者である。

      木造の戸建て住宅の規模であれば、

      構造設計、設備設計も意匠設計者で全て設計することも多い。

      ただ、規模が大きくなったり、住宅以外の特殊建築物となると

      意匠設計者だけでは手に負えなくなる。

      構造、設備のそれぞれ専門の設計者と協同して設計図書を作成することになる。

      この建物で協同した構造設計者は以前から一緒に設計しており、

      設備設計者はこの建物が初めて組んだ案件になる。

      両者とも知り合いからの紹介だが、

      実際に一緒に仕事をしてそれぞれ信頼に値する設計をしてもらえたと思う。

      ちなみに、現場を見たいという構造設計者や設備設計者も滅多にいない。

      見たいと思うほどに彼らも建築が好きだということだ。

      今は他の案件も彼らと設計を進めているが、

      建築主に対しても、施工者に対しても思うが、

      信頼できる人と仕事ができることほど心強く、楽しいものはない。

      私自身、住宅以外の設計もしていきたいと考えているので、

      今後も彼らにお世話になることもあると思うが、

      もっとそんな機会が増えるようにがんばっていきたいと思う。

      設計者の本分

      2019.07.09 Tuesday

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        JUGEMテーマ:人生論

        スロープ申請を提出している役所から連絡があり、

        多少の変更があるので来てほしいとのことだったので、

        打合せに向かった。

        すでに提出してから半年近く経って何回もやり取りをしているので、

        ようやく申請書が提出できると思い、ややほっとした気持ちだった。

         

        打合せを始めるとここ数年、別の役所で良くも悪くも鍛えられているので、

        一瞬いらっとしたが、そのまま話を聞いた。

        相手方の指示としては、計画内容の根本部分の変更指示と

        構造図はまだないことを伝えた上で構造検討の書類を提出していたが、

        今更の構造図の提出指示だった。

        今になって構造設計者に構造図の作図を依頼する必要がある。

        これらの指示がやり取りを始めて間もない時期なら分かるが、

        約半年やり取りをしてきて、

        さらには細かい部分まで修正指示に対応してきているのに、

        このタイミングで何故その指示か意味が分からなかった。

        単純な好奇心で何故かを尋ねたが、

        ただただ平謝りするだけだった。

        最後に打合せしてもらったことにお礼を言い、笑顔でその場をあとにした。

         

        帰り道、このやり取り、さらには設計者って何なのかを

        設計を始めた頃からのことを思い出しながら、ぼーっと考えていた。

        約15年、設計の仕事をしてきて思うし、この仕事を始める前からも変わっていないが、

        設計者の仕事は建築主の要望を把握し、計画地の特性を掴み、

        より良い建築計画を立て、それを元に図面を作図する。

        そして、法規に適合しているかの申請を提出し、作図した図面を元に施工者から見積を取り、

        工事が図面通りに進んでいるかを現場確認しながら、

        建物の完成を目指すことが仕事である。

         

        ただ、設計の仕事を始めてから今までの出来事を思い出していた。

        建築主との打合せを最長、休憩なしで8時間したこと。

        建築主に同じ内容を2回も3回も確認して、類似完成写真まで見せて確認したのに

        実物を見てこれは知らないと言われて、一部壊してやり替えたこと。

        私は設計者だが、完成の手直し確認を建築主のことを恐れた施工者が逃げて、

        私が代理で最後まで各業者に指示を出して引き渡しまでしたこと。

        現場監理は設計者の仕事だが、各業者への連絡や指示等の現場管理を

        私が最初から最後まで行ったこと。

        役所の指摘内容の通りに申請書を修正して再提出したら、

        全く違く修正内容を指示されたこと、等。

        そして、今回の役所とのやり取り。

        設計の仕事って一体何なんだろう、と電車に揺られながら、ため息が出た。

         

        先日、地震で全壊した実家が再建し完成したが、

        建物自体、小さな木造平屋で建築主の要望もほぼなく、

        申請も県が協力的に支援してくれ、施工者もこちらが言う前に対応してくれるような感じで、

        設計者である私以外の要素がほぼ支障になるようなことが一切なかった。

        それでも建具の納まりを朝方までかかって検討したり、

        着工図完成間際には連日夜中まで図面を書いていた。

        思ったことが設計者以外の要素になんら支障になる要素がなくても

        設計という仕事は時間がかかるし、根気もいるし、大変な仕事だと思う。

        純粋な設計だけでも大変なのに、さらにいろんな不確定要素がこれに加わるのだから、

        大変なのは当然だと思った。

         

        事実として、設計という仕事は、いろんな組織、いろんな建築主、

        いろんな施工者、いろんな考え方、いろんな性格と向き合わざるを得ない。

        何故なら、設計者だけでは仕事は成り立たないのだから。

        それでも、設計者の仕事も原則があるのだから、例外もあると思うが、

        何故と思わざるを得ないような例外的なことがあると気分的に落ち込む。

        私は神様でも特別な人間でもないが、

        設計者以前に人として真っ当なことをしているにも関わらず、

        それが通じない場合に気分は落ち込むことは当然として、

        それ以上にどのようなことをすれば良かったのか悩むが、

        だいたい振り返ってもこうすれば良かったという案が思い浮かばない。

        ある種の限界を感じる。

        当初は反面教師で何かを学ぶタイミングなのだ、とか、

        私のやり方がおかしく、相手のやり方が正しいのではないか、等考えていたが、

        ある程度生きてきて、人として、設計者として分かったことは

        本当にあまり意味のないことだということだ。

        そして、いろいろ考えた挙句出る結論としては

        あまり悩まず、原理原則に戻ることが重要だということだ。

        つまりはあくまで設計者の本分を果たすことのみが重要である。

        それは、設計者の仕事は建築主の要望を把握し、計画地の特性を掴み、

        より良い建築計画を立て、それを元に図面を作図する。

        そして、法規に適合しているかの申請を提出し、作図した図面を元に施工者から見積を取り、

        工事が図面通りに進んでいるかを現場確認しながら、

        建物の完成を目指すことが仕事である。

         

        電車が到着する頃にはため息をついていた気分も落ち着いた。

        今日が終わるにはまだ時間に余裕がある。

        家へと向かう足取りの方向を変え、いつもの本屋の建築コーナーに向かった。

        何故なら、私は建築のプロフェッショナルになりたいのだから。

        意味のないことに時間を使うぐらいなら、意味あることにその時間を振り向けるべきだ。

        その目指す道を地道に進んでいこう。

         

         

         

        現場の打合せは続く

        2019.07.06 Saturday

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          先日は愛媛の現場だったが、今回は福祉施設の現場へ向かった。

          設備関係で確認事項がいろいろとあったため、

          建築主を始め、水道、電気、ナースコールメーカー等、

          関係者を集め、打合せを行った。

           

          外壁、屋根の施工は終わり、残りは外部フードのみの施工が残っている。

          近いうちに足場が外れるらしいが、通常の木造2階建て住宅よりも

          早いペースなので現場側の段取りの良さに感心した。

           

          内部は壁、天井下地もほぼ終わり、

          フローリングを張って、養生を始めていた。

          前回は天井懐の設備関係の施工を行っていたが、

          それもほぼ完了している。

           

          黒いパイプは水道直結型のスプリンクラーの配管。

          スプリンクラーは通常は敷地内に貯水槽を設置し、

          費用も場合によっては施工費が一千万を超えたりもするが、

          水道直結型であれば何百万かで収まる。

          それでも決して安いものではないが、

          2000年代に続いた福祉施設での火災で多くの死傷者が出て以降、

          スプリンクラー設置は福祉関係の施設にはほぼ必須の設備となっている。

           

          最近は現場での打合せが多い。

          それでも毎週のようには頻繁に現場へは行けないが、

          打合せがなくとも、定期的に足を運ぶことで大きなミスや施工不良等を見逃すことはないと思う。

          現場へ行っても細かい所を一つずつ確認していては時間がいくらあっても足りないが、

          現場の空気感を感じ取れば、なんとなく工事が順調かそうでないかは分かる。

          そういう意味では現在動いている現場はどこも空気感が良いので、安心感はある。

          設計事務所によっては図面をきっちり書いている以上、

          現場へ行くことは非効率と考える事務所もあるようだが、

          私としては図面もきっちり書くが、

          現場へも定期的に足を運び、

          この空気感を感じ取ることが仕事の一部だと考えている。

          今後もどんな現場でもこれは地道に続けていきたいと思う。

          完成までもう一息

          2019.07.05 Friday

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            愛媛の現場へ向かったが、

            終盤に来て、仕様を見直したり、

            予想外の費用が掛かる内容が出てきたりで

            打合せ内容が増えたので、バスで向かっていたが、

            急遽、途中、特急に乗り換えていつもより少し早めに現場へ向かった。

             

            1階の軒天、外壁のレッドシダーと2階外壁の塗り壁。

            塗り壁の塗料が配送の手違いで数日前まで全く別の色で

            塗り始めていたらしい。

            気を抜くと何が起こるか分からない。

             

            美容室の壁下地がほぼ完了。

            床仕上げはモルタルとパーケットの計画だが、

            パーケットで選んだ仕様が人気商品で納期が秋以降とのこと。

            建築主と頭を抱えながら代替案を考えていた。

             

            吹抜け上部の天井下地まで仕上がっている。

            照明器具の設置の穴を開け始めていた。

            照明器具仕様も着工前に決まってはいたが、

            着工後、二転三転して昨日最終確認していったが、

            それでもさらに変更があった。

            設計者の私ですら、どんな仕様でも最終決定する時に迷いは生じるが、

            初めてそんなことをする建築主ならなおさら迷いが迷いを生み出すと思う。

            それでも現場は止まってはくれないから、

            迷いつつも決めていくしかないのだが。

             

            なんとなく予測はしていたが、

            打合せしたい内容の10個のうち、1個が決まったぐらいで

            現場を離れる時間になった。

             

            この完成が近づいてくるタイミングは

            施工者も予定工期を守ろうと焦ってくる、

            そして、必要な建材納期も考慮するとさらに焦ってくる。

            また、建築主も図面やパースや模型で確認してきたものが

            実物でほぼ確認できるようになって、悩み始める、

            そして、予想外のイメージの仕上がりだったり、見積にさらに悩み始める。

            ただ、設計者である私ももちろん、焦るし、悩むが、

            双方の状況を理解してより良い完成を目指すことが

            このタイミングですべきことだと思う。

            と言っても、特別なことができる訳ではなく、

            建築主、施工者の双方の事情や考えを把握し、

            それらがスムーズに進められるように耳を傾けたり、

            やり取りするという普通のことしかできないが、

            私はそれで充分だと思う。

            逆に言うと、建築主としっかり打合せをして、

            施工者もしっかりと施工してくれているのなら、

            完成した建物もそれに見合ったものになると考えるからである。

            焦ったり、悩んだりすると感情的になったり、余裕がなくなったりするが、

            落ち着いていつも通りの普通のことをすることがとても大切だと思う。